DRリポート204

医療最前線Drリポート

歯医者さんに行って、なぜ検査が必要なのか

日本大学松戸歯学部

有病者歯科検査医学講座 教授

福本 雅彦先生

これまでの2回でお口の中にできる「がん」のお話をさせていただきました。最終回は歯科医院で行われるいろいろな検査に関してお話しさせていただきます。

皆さんはお医者さんや歯医者さんに行かれるときにどのような気持ちで受診されますか。多くの方は「早く、確実に治してもらいたい」という思いが強いと思います。これを言い換えると「安全・安心な医療を受けたい」、「高い質の医療を受けたい」ということになります。 

一方、医療者側も最良な結果を得られる医療を安全・安心の状況で提供したい。つまり「高い質の医療を提供したい」と考えています。実は、患者さん側のニーズも医療者側のニーズも「思いは一緒」なのです。

「高い質の医療」の提供には「医療の質を確保」することが最重要です。つまり「医療におけるリスクマネジメント」が大切なことになります。このためには患者さんの現在抱えている問題をしっかりと知ることが必要です。

わが国の病気に罹患している人数

現代のわが国においてどのくらいの国民が病気と向かい合っているのしょうか。

(糖尿病):患者さんの数はおよそ700万人、境界型(予備軍の方)を含めるとおよそ2,000万人、(高血圧):およそ4,000万人、(脂質異常症):700万人など、とても多くの方が何らかの病気と向き合っています。

この傾向は超高齢社会の進行に伴い、今後さらに助長されると思われます。このような社会状況の中で安全・安心な歯科治療をする上で患者さんの身体の状態を知るためには様々な検査がとても有効なのです。

歯科医療は変化している!

読者の皆さんは「歯を治しに来て、なんで検査が必要なの」と思われている方もおられるかもしれません。しかし、何らかの身体の不具合があってお医者さんにいかれた時に「では、まず検査をしてみましょう」と言われて「なぜ」と思うことはあまりないのではないでしょうか。

現代医療においては「検査」をして患者さんの身体の状態を客観的に把握してから「診断」「治療」に進む。そして治療効果を確認するために再度「評価のための検査」を実施するというのが通常の流れです。これは歯科医療においても同様なのです。ひと昔前の歯医者さんは検査もそこそこに、治療を行うことがありましたが現代では歯科医療も大きく変化しています。

皆さんが歯科を受診されるときに

多くの方々は年に1回位の健康診断をお受けになられていると思います。その検査結果を歯科に受診されるときにぜひ、ご持参下さい。それにより歯科医師は皆さんのお身体の状態をある程度把握すること出来ます。患者さんも医療者側も安全で安心な診療を受けること、提供することが出来るのです。もし、歯科医師が追加の検査が必要と判断すれば皆さんにそのことをお伝えするはずです。

今回のお話しの結論として検査は患者さん側にも医療者側にも重要であり、検査をしっかり行う歯科医院は「高い質の医療」の提供に力を入れている所ということです。

■日本大学松戸歯学部庶務課☎047・360・9567。