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口腔がんの先触れ? ~第3回 “口腔カンジダ症”

日本大学松戸歯学部 病理学講座 教授 久山 佳代先生 

カンジダ症は真菌(カンジダ属)による皮膚・粘膜感染症で、あらゆる部位に生じますが、摩擦部、爪周囲、性器や口腔粘膜によくみられます。カンジダ属という真菌は、約200の菌種があり、皮膚や粘膜(特に口腔内、糞便中、膣内)にしばしば常在しています。したがって湿気や局所および全身の感染防御機能の低下により増殖する環境が整わない限りは、悪さをすることはありません。ところが不衛生や抵抗力の低下などにより、複数部位で増殖し、やがて全身に影響を及ぼすことがあります。

さて、口の中でカンジダ属が増殖した病気が、第3回目のテーマである口腔カンジダ症です。「口腔がんになる可能性を少しでも持ち合わせた病気群」のひとつです。今回はいよいよ最終回です。

免疫力低下で発症

口の中や周囲にカンジダ属が表面的に増殖すると、白苔(はくたい=おからのような状態)を形成することが多く、鵞口瘡(がこうそう)と言われてきました。白苔はガーゼで拭うと容易に剥がれるとしばしばいわれますが、幼児などでは取りにくいこともあります。鵞口瘡は、小児や高齢者のほかに、全身の免疫力が低下したときに現れます。

この状態が慢性的に経過すると、粘膜に固着して白苔がさらに剥がれにくくなります。慢性化すると口腔がんになる可能性が少し生じると言われていますが、その頻度は非常に低いです。

この他にも義歯や口の清掃不良が原因で義歯の下の粘膜に生じるカンジダ症、口角に亀裂やびらんが生じて開口時に痛みを覚えるカンジダ症などがあります。さらに、白苔ばかりではなく、舌に痛みと赤味がみられるカンジダ症もあり、食事がしづらくなります。このように口腔カンジダ症は、皮膚のカンジダ症よりもその現れ方が千差万別です。

早い診断と適切な治療で除菌

口腔カンジダ症の原因は唾液量が減少した方、高齢者や幼児、糖尿病や悪性腫瘍を罹患されている方、薬剤の継続服用による微生物のバランスの変化(菌交代現象)として現れます。これは皮膚のカンジダ症と同様です。口腔特有の環境として、喘息の方が使用する吸入ステロイド薬が口の中に残っていたり、不衛生あるいは合わない義歯や矯正治療で使用する歯科材料がカンジダ菌の増殖の足場となることもあります。

口腔カンジダ症は早くに診断し、適切に治療することにより除菌することができます。また口腔カンジダ症は、病気と思われる部分を綿棒や小さなブラシで擦ることにより検査するので、痛みはありません。

本学付属病院では、患者さまが歯の痛みで来院された場合も、この3回のシリーズでお話したような病気を早くに見つけるためにお口の粘膜までじっくりと拝見します。

■日本大学松戸歯学部庶務課 ☎047・360・9567。

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