知くん(小1)。入学して、数日で「僕には合わない」と不登校に。今は生活の大半をゆうびと家庭とで、元気に過ごしている。知くんのお母さんの目下の悩みは勉強のこと。「中学から不登校というのと、小1で不登校ってやっぱり違うじゃないですか。せめて読み書きと計算くらいは、と思うんですが、やる気が出ないみたいで。読書や科学の動画は好きで、学ぶこと自体は嫌いではないと思うんです。「タイマーかけて何分でやってみよう!」とかいろいろ工夫してみてるんですが、本人は座っていても落ち着かなくて、全然進まないんです。見かねて注意するとシクシク泣くから、私も罪悪感で、もう一切やめようかとも思うんですが、勉強を全くやめるのも本人はヤダと言うんです」と疲弊した様子です。
ゆうびでは「勉強はいつからでもできる」というのが基本姿勢ですが、不登校の低年齢化が進み、基礎的な学習の問題は最近よく耳にします。このことを不登校経験者の裕さん(30歳)と話しました。「勉強が嫌というよりやらされてる感じが嫌なんだろうなあ」と言います。裕さんは会社員ですが、知くんの落ち着かない感じは覚えがあると言います。それは一つに「その仕事を何のためにやるかわからないとき」、「誰かに監視されているとき」、そして「やり方を、自分で決められないとき」。これは知くんの勉強にも当てはまります。確かに、勉強することの意味が分からず、親に見張られて、やり方も決められては、やる気が出ないのも当然です。
裕さんは「自分でハンドルを握っている感覚」が大事と言います。「『この仕事をいつまでに』と言うのがあって、それをどう進めるかを自分で決める。自分は集中が続かないからここで休憩入れようとか、工夫してみる。何回かやってるうちに自分に合ったやり方が少しずつわかってくる。助けが必要なときは自分で呼ぶ。自分の思い通りにハンドルを操作してる感覚があれば、やる気でるんだよ」。親が横から握っていたハンドルを手放すことが、一番子どもの為かもしれません。
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