面白がってくれる大人 

子どもの広場 ゆうび

◆光くん(17歳)のお母さんが来園し、スタッフや学園生何人かと雑談していました。

「こないだ光の高校の保護者参観があったから行ってきたの。それで、教室の後ろの掲示板に芸術鑑賞で観た能の感想が貼ってあって。大体みんな能を観てどう思ったかというようなことを作文用紙にまとめているんだけど。その中で光のを探したら、一言『暑すぎ』ってでかでかと…。空調が効いてなくて暑かったらしいんだけど。もうびっくりやら恥ずかしいやらで…」

と笑いながら話してくださいました。

◆その話を聞いて、竜くん(19歳)。

「自分が高校生のとき、自由なテーマでA41枚のレポートを書くという課題があった。自分は『サンマの漁獲量がなぜ減っているのか』をテーマにした。調べていくと面白くて、国家間の問題、環境問題、人種差別問題にも行き当たった。面白くてどんどん書いているうちに3枚くらいになっちゃった。それで提出したら、教科担当の先生には「長くて読む気にならない」と言われた。でも、担任の先生は「面白い」と言ってくれた」。

 光くんのお母さんの話を傍らで聞いていた都さんは「でも、いい学校だね。どんな感想でも平等に貼り出すのは。忖度して貼り出さないということもできるのに」と言っていました。

光くんの高校は生徒の自治による自由な校風が特徴の学校です。先生たちは何を貼り出すのも生徒たちの責任として任せているのでしょう。


 竜くんの教科担当の先生の言い分も解ります。決められた形式の範囲内でまとめる力もいずれは付けていかないといけないのでしょう。ですが、もっと調べたい、もっと学びたいという意欲はかけがえのないものです。


 子どもたちの学習の評価に関して、教師をはじめとした周りの大人たちがどういう対応をするか。その人の価値観が問われます。自分が面白いと思ったことを同じく「それいいね」と面白がってくれる大人がいたら。

そういうことは子どもの心にずっと残ります。

 
☎04・7146・3501 FAX同7147・1491(NPOゆうび小さな学園 杉山麻理江)