親は変わらない。子は進め

子どもの広場 ゆうび

 二十歳を過ぎて親との関係に悩む若者たちが多くいます


◆茂くん(25)小さい時から母親との折り合いが悪く、中学で不登校になったとき、学校に行けない自分を認めてもらえなかったという想いをずっと引きずっている。母親は心配していたが半ば振り切るような形で、就職を機に一人暮らしを始めた。時々届く母親からの食品の差し入れは受け取る。ラインの連絡に返信はしなかったが、安否を知らせるつもりで既読だけは付けた。しばらくして就職先でうまくいかず、経済的に一人暮らしが難しくなって実家に戻る。母親に甘えたい気持ちもあったかもしれない。大人になり、今なら分かり合えるのではという微かな期待もあった。しかし同居を始めて一週間で、戻ったことを後悔した。些細なことで衝突し、互いに優しくなれなかった。今はまた一人暮らしの資金を貯めている。一緒に居ない方が互いを尊重しあえると思っている。


◆由さん(30)幼少期から家族の中で疎まれることが多かった。母親は可愛がってくる時と、罵声を浴びせてくる時の差が激しく、振り回された。高校を卒業し家を出た。職場ではうまくいかず仕事を転々として生活する。正月、帰省の話題を聞くと寂しい気持ちもあったが、帰りたいとは思わなかった。自分の気持ちを分かってほしくて手紙を書いたこともあったが、返事はなかった。十年たった頃、突然連絡が来た。「お父さんもお母さんも年を取った。話し相手がほしいから帰ってきて」。


 二人共どこか親と分かり合いたいという願いはあります。もちろん親子で問題に向き合い、話し合えたのならそんなによいことはないでしょう。しかし、厳しいようですがそれは不可能かもしれません。他人の価値観を変えることは難しく、まして親子関係においてそれを転換するというのは非常に稀な事です。
 幸せな育ちがほしかったけど、叶わなかった。それはあなたのせいではない。だけど親に今後どうこうしてもらうことでもないと割り切ることも時に必要かもしれません。


 他者に助けを求める力があれば、新しい居場所や温かい人間関係を作っていくことは必ずできます。人生は自分で自分を幸せにする旅です。親に固執せず、距離をうまくとりながら、若者たちには自分がたのしく心地よくいられる道を第一に探していってほしいです。


 ☎04・7146・3501 FAX同7147・1491(NPOゆうび小さな学園 杉山麻理江)