ずっと夏休みでもかまわない

子どもの広場 ゆうび

 春からの緊張した日々が終わり、子どもたちの待ちに待った、夏休みが始まっています。不登校の子、休みがちな子、毎日登校しているけど苦しい子にとって、ほっと一息つける期間かもしれません。「昼間から近所を堂々と歩けるから嬉しい」と言う子。「学校の友達と街で出くわす機会が増えるから憂鬱」と言う子もいます。どちらにしても、朝起きたとき『今日はみんなも休んでるんだ』と思うと一日の心持ちが違うと言います。


 中2の息子さんが行き渋りというお母さんが見学に来ました。息子さんは学校には行っても午後から行くことが多く、朝は大体「お腹が痛い」と言う。病院で過敏性腸症候群と言われたそうです。「来年受験だし、もう少し頑張れば行けそうな気もするんです。休んだ日、家でテレビ見てバカ笑いしているのを見ると、カチンときちゃうんですよね~」と明るく話された後、ぽつりと「自殺も、怖くて」と仰いました。飛躍しているように聞こえるかも知れませんが、私は「そんな大げさな」とは言えませんでした。

 確かに明るく元気に見える子でも「学校に行けない」ことが私たちの想像以上の重圧になっている場合があります。身体症状や自傷行為が現れてはじめて、子どもがこんなに追い詰められていたのだと周囲が知ることもあります。
 不登校は甘えやサボりといった性質のものではありません。私たちはこの点を理解する必要があります。学校を休み始めているのは既にぎりぎりの状態。心と体を休ませる必要があります。


 悲しい現実ですが、夏休み明け前後、子どもの自殺が増える時期です。学校が始まるということが彼らを死に向かわせるほど追い詰める。そのようなことは絶対になくさないとなりません。学校が嫌なら、一生夏休みでもいいじゃないか。「うちはまだお休みにします」と宣言して、長いお休みを満喫しましょう。将来の心配は、いらない。生きてさえいれば、この先どうにだってなる。子どもたちの周囲の大人はぜひ、どんと構えて伝え続けてください。


☎04・7146・3501 FAX同7147・1491(NPOゆうび小さな学園)杉山麻理江