外出自粛で家族が家で過ごす時間が増え、お母さん(主に家事を担う方、ここでは代表してお母さんとします)の心身の負担は増しています。手が掛かる小さい子はもちろん、小中学生などある程度大きい子でも、子どもがずっと家にいるのは疲れるものです。無意識に、そして優先的に子どものことが目に入り、お母さんの頭はなかなか休まらないのです。
◆スタッフ『夕さん』。小学生の子どもをゆうびに通わせながら働いています。夕さんはスタッフになってからギターを始めました。中学生とバンドを組んで演奏したり、ギター好きな女の子のところへ訪問し、交流したりしています。
ある日、夕さんがバンドの練習をしていると息子の草くんが来て「今日はもうつまらないから帰ろうよ」と言います。夕さんは「ママは今朝、練習があるって言ったよ。だから帰りません」。草くんは「帰りたいのにー」と泣きべそですが、夕さんは構わず練習を続けました。
◆別の日の夕さんと草くんの会話。
「ゲームはゲームを作る人がこうしたらこうなるという仕組みを全部作って、遊ぶ人はそれをなぞって遊んでいる。もちろんそれも楽しいと思う。ママはギターが好きでこの曲が弾けるようになりたいと自分で決めてやってる。できたらすごく嬉しいよ」。「ふーん」と草くん。
今はまだ分からないかもしれませんが、お母さんが好きなことを夢中でやっている姿を見せるのは子どもにとって、とても意味のあることです。子どもはお母さんが自分にばかり向き合いすぎていると疲れます。お母さんが自分の為にあれこれやってくれる、だから期待に応えなくては。駄目だった場合、逃げ場がありません。
そのように育った子が大人になり家庭を持つ時、求める母親像はやはり家庭に尽くす母親です。今はもうそういう時代ではありません。家庭をないがしろにするほどはいけませんが、親も子も好きなことがあって、その楽しみを共有することで互いを認め合えます。高尚な趣味である必要はありません。
忙しい生活の中、そんなもの探す時間もないという方も多いと思います。特に今は家族と自分の命を守るため緊張状態が続いています。そんな時だからこそ、昔聴いていたCDを聴いたり、気に入ったポストカードを目に付くところに飾るというような事でいいと思います。ほんのわずかな時間でも自分を労わってやることが、結果として家族の笑顔につながります。
(文=杉山 麻理江)
☎04・7146・3501 FAX同7147・1491(NPOゆうび小さな学園)