「自分が目立ちたいとはかけらも思わない。舞台の袖から人を支える人でありたい」
ママであり、放課後デイサービスの代表であり、大学生でもある、いくつもの顔をもつ榎本美紅さん。鎌ケ谷市在住で11歳と13歳の子どもがいる。
2012年に任意団体「子育て応援隊I’ll go」を立ち上げ、子育て支援やイベントを中心に活動してきた。
こうした榎本さんの活動が鎌ケ谷市の目に止まり、鎌ケ谷市役所で子育て支援コーディネーターとして働くことになる。
「行政と民間との間を繋ぐような仕事をしていました。今時のママはこんなことを思っていますとか、ここが足りていないとか、そういう課題を伝えたり、一緒にイベントを企画したりしていました」
自身の活動の場はどんどんと広がり、任意団体は一般社団法人アイルゴーを設立することになる。
講師として呼ばれることも増え、気がつけば目立つ存在になっていった。
けれど榎本さんは言う。
「私は、前に出たいわけではない。舞台に立って脚光を浴びるより、舞台袖で人を支えていたい」
榎本さんの心には、変わらない想いがある。
「ママもパパも、人生を楽しんでもらいたい」
子育てを経験して『子どもも、大人ももっとワクワクできることを』と活動していった結果が今を作っている。
そんな榎本さんが、2022年3月に長年勤めた鎌ケ谷市役所を辞めた。
昨年、通信大学の大学生になり、幼稚園教諭の資格、保育士の資格を取るために勉強を始めたこともあるが、4月から放課後等デイサービスDoorly(ドアリー)の事業代表になったことも大きい。
行政での安定する職ではなく、先のわからない不安定な道を選んだということになる。
「今は責任者としての重圧を感じています。大切なスタッフのことを考えたり、事業の管理運営をしたりするようになりました。なんでわざわざ大変なほうにいくのかとよく言われます。大学の勉強もあるし(笑)。なんで私、こんなに大変なこと楽しんでるんだろうって」榎本さんは笑う。
彼女の中で、この不安定で忙しい毎日は楽しめる道なのだろう。
「舞台袖で人を支えたい人」の背中は誰よりも輝いている。