「升掛友護選手 チーム離脱のお知らせ」
2025年早々、チーム始動のタイミングで公開されたプレスリリース。
曰く、こんな概要だったー。
「升掛友護選手が、海外クラブへの移籍を前提とした準備のため、チームを離脱することとなりましたので、お知らせいたします。
今後は、現地での手続きを経て正式契約を結ぶ予定で、契約締結後に改めてお知らせいたします。」
柏レイソルの始動に胸を躍らせていたら、升掛は海外移籍に挑んでいた。2024年のクリスマス直後に出発していたようだ。
そんな升掛とコンタクトが取れた。「ユウゴは今、何をしてんの?」といったフランクな会話から、今回の取材はスタート。
「おつかれさまです!元気ですよ。さっき帰ってきたんです!毎日楽しくやってはいますけど、納豆が食べたいです(笑)」
リリースのニュアンスが見慣れないものだっただけに、「何をしてんの?」となってしまったのだが、彼の去就を気にする人たちの気持ちを代弁したつもりだ。
「周りの人たちからは『ユウゴ、みんなユウゴが海外で所属クラブを探していると思っているよ』って言われるんです(笑)。確かにそう思われてもしょうがないかなと思いますけどね、決してアテがない状態で退団したわけじゃないんですよ」
プレスリリースにある通り、現在の升掛は海外にいて、「その時」を待っている。海外赴任でも旅行でも、このようなアスリートの海外移籍でも、物事がなかなかうまく進まないことはよくある。
「日本は本当に恵まれていますね。すごく分かります」
そう話す升掛に「なぜ、海外?」と話を投げた。
「ずっと、自分の中で『海外でプレーすることができたら』って思っていたのはあります。『自分のスタイル的にも海外に合っているんじゃないかな』って思うところもありました。少し前にも同じようなお話をもらうことができて、真剣に検討をしたこともありました。ただ、その時は『レイソルで』という気持ちが強かったんです。そして、昨年にもう一度お話をいただくことができて、『挑戦したいです!』と気持ちを決めました。きっと、『今しかできないこと』だと思っていますし、新しいクラブも自分に期待をしてくれているし、ちゃんとした評価をくれています」
柏レイソルは升掛を引き留めはしたのだが、今回は意思が固かった。レイソルの考えに感謝しつつも、退団を決心したということだった。
「今回は『完全移籍で』というオファーをいただきましたから、レイソルも『期限付き』という提案をしてくれたのですが…最後は自分の気持ちを尊重してくれました」
升掛の翌日に公開された関根大輝(スタッド・ランス)のプレスリリースも升掛と同様の内容だったこともあり、「プレスリリースからの期間をふまえてみると、あのくらいの期間で関根がランス加入だったもんだから、『ユウゴはPSGだな…』って思っているよ」と話す。
「それはやめてください(笑)。でも、セキはすごいですね、やることなすこと、スケールが違います」
そんな話をしながら、話は本題に入っていく。
…だが、まだこの先を書くことができない。
だから、今回はまだ「エピソード0」。
この話にはまだ続きがある。
取材をさせてもらう中で、「また、来月にでも話そうか?日本語が恋しいでしょ?」と提案すると、「ぜひ!」と快諾してくれたので、現在の「今、何をしてんの?」というシチュエーションよりも賑やかな原稿を書けそうな気がしている。
そもそも、定期的に升掛を呼び止めて、何かしらの近況を聞き出す作業というのは我々にとっては「ルーティン」でもあるので、やっていることに大きな変化はない。
ただ、あの豪快で愛らしい「ファンサ写真」についてはしばらくお見せできないかもしれないが、少し逞しくなった姿をお届けできるかもしれないし、新しい国での活動報告ができれば、我々の関係もさらに前へ進むことになる。
写真は毎回升掛から届く仕組みを予定。取材と原稿は私が。そんな今回のコラボレーションを楽しみたい。
まずは何より良い状況で升掛が始動することを願っている。
全てはそこからだ。
(写真・文=神宮克典)