マグ・マニュ・タラ・ハニ・ウシ・ハナ・チュー・ナビ… 怪しい呪文ではないのでどうか怖がらないでほしい。
今回は与論人が持つもうひとつの名前、『ヤーナー』をご紹介しよう。 生まれた子に対し戸籍上の名とは別に、祖父母や叔父、叔母などの名前を付けるのがヤーナー(家名)だ。祖先の名を絶やさず、あやかる意味がある。歴史を辿ると、明治に戸籍法が成立した事で戸籍上の名と以前の名(ヤーナー)を区別するようになったようだ。
今でも日常的に使われており、本名よりヤーナーの方が周囲に浸透している人も多い。家族や親戚以外に本名がほぼ知られていない人すらいる。与論ではよくある話である。 同じヤーナーの人も多いので、名前の前に地名や親の名前を付けて区別する。例えば、ナマのマニュヤカ(那間(地名)のマニュ兄さん)みたいな感じだ。他にもジャーウジャンカ(ジャーおじさん)、チューガマ(小さいチュー)など、関係性によってオプションが付いて来たりする。
祖先との繋がりを身近に感じさせてくれるヤーナー。日常的にヤーナーが飛び交う光景はなんとも与論らしくて良いものなのだ。
(写真・文 一般社団法人 ヨロン島観光協会 小高)