春は駆け足で過ぎ去っていきます。遅咲きのサトザクラ類(いわゆる八重桜)による桜吹雪が止むころには、新緑や田植えの季節を迎え、初夏の様相を呈してきます。
気温が上がるとともに虫たちの活動も活発になり、野山に再び賑わいが戻ってきました。今回は数ある昆虫の中から、テントウムシを取り上げたいと思います。
テントウムシは身近な存在でありながら、とても奥が深いものです。この仲間で最もよく見かけ、知名度が高いのはナナホシテントウとナミテントウでしょうか。それからニジュウヤホシテントウ(別名テントウダマシ)も、ジャガイモなどナス科野菜の害虫として知られています。
ナミテントウはありふれた種類ではありますが、なかなかに侮れません。翅の模様がとても個性豊かで、中には珍しい模様を持った「個性派」もいます。片っ端から撮影して、ナミテントウ専用フォルダをつくっても楽しいかもしれません。
テントウムシの仲間(コウチュウ目テントウムシ科の昆虫)は、日本で約180種、世界で約5000種いると言われています。東葛地区でもていねいに探せば、そこそこの種類数を見出すことができます。
テントウムシの仲間は星の数が名前になっているものも少なくありません。
星の数が少ないほうから順に、フタホシテントウ、ヨツボシテントウ、イツホシヒメテントウ、ムツボシテントウ、ナナホシテントウ、ヤホシテントウ、ココノホシテントウ、トホシテントウ、ジュウニマダラテントウ、ジュウサンボシテントウ、ジュウシホシテントウ、ジュウゴホシテントウ、ジュウロクホシテントウ、ジュウクホシテントウ、ニジュウヤホシテントウなどが挙げられます(東葛地区に生息がないものも含みます)
この中でトホシテントウはウリ科植物の葉を食べる草食のテントウムシです。またジュウサンボシテントウは知名度こそ低いものの、それほど珍しい種類ではなく、川沿いや水田地帯などの水辺で比較的よく見られます。
テントウムシの魅力やネタは、書きはじめたらキリがないくらいたくさんあります。ぜひ散歩がてらにいろんなテントウムシを探して、自分なりの魅力を見つけてみてくださいね。
わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール
気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。わぴちゃんホームページ