柏市豊四季に千葉柏工場を構える食品製造会社のトオカツフーズ。始まりは1966年、創業者と数人の仲間が、鎌ヶ谷市で「東葛食品」を設立。その後、独立し「トーカツ」として産声をあげ、後に社名を「トオカツフーズ」に変更。今年で創業55年となる。
1967年に神奈川へ移転、当時は調理パンの製造をしていた。時代は高度成長期、1974年に国内のコンビニエンスストア第一号店が開店。その波に乗りトオカツフーズは、主にコンビニに対応した弁当、おにぎり、サンドイッチ等の中食産業で着実に業績を伸ばしていった。
関東に9つの工場を有し、千葉柏工場は、一日46種類、30万食を製造。その数は、弁当業界の米飯カテゴリーで1、2位を争う規模を誇る。ここでは、主に関東一円の大手コンビニエンスストアへ朝、夕、夜と一日3回、弁当などを納めている。
機械化が進む業界だが、弁当の細かい盛り付けなど手間のかかる工程もある。そこで、活躍するのが柏工場だけでも570人もいるパート社員だ。子育て中のママさん、学生、外国語の通訳担当者などが働く。
高齢社会の現在、一人暮らしが増え手軽に食べられるとあってコンビニやスーパーの弁当は身近な食品だ。決して全面に自社名を出すことのないトオカツフーズは、人々の食生活を支える食品業界の「縁の下の力持ち」といえる。
影ながら活躍を続けるが、自社ブランドも立ち上げている。ネット販売の「おまかせ健康三彩」は、人々の健康志向を考慮した栄養バランスにすぐれた食品。長年培ってきた食に関する技術とノウハウを生かし企画、製造。これから年末年始に向け製造量が増えるのが、おせち料理。これも成長が著しい分野だ。
昨今、食品を無駄にする「フードロス」が問題になっているが、トオカツフーズでは需要と供給の数量を計算し製造、余った製品を家畜の飼料にするなどの取り組みをしている。
食品づくりの安全、安心を基本にしているが、工場内へ入る際にその徹底ぶりが伺える。まず白衣に着替えた後、入念な手洗い、ローラーで何度も埃を取り、エアシャワーで埃を飛ばす。最後の行程では髪、ツメ、身体全体を検査する専門の人が常駐。その徹底した食に対する安全管理が、トオカツフーズの揺るぎない信頼となっているのだろう。
(取材・文=高井さつき/撮影=高井信成)
■トオカツフーズ千葉柏工場/柏市豊四季945‐864
☎04・7148・3066