それでも、前を向く -和風ダイニングわっ嘉 金子淳一郎さん

金子淳一郎さんと奥岳洋子さん。おりづるガチャの前で

 「誰もが障がいを負う可能性がある。自分かもしれない、家族かもしれない。そう思って毎日を過ごしてもらいたい。私みたいにならないために。」


 和風ダイニングわっ嘉の店主 金子淳一郎さんは2015年、通勤中の事故により脊髄を損傷した。リハビリを続けるも胸から下は動かせなくなり、車いすの生活となった。

 「けがをするまでは車いすの人のことなど考えたこともなかった。」そう話す金子さん。退院してしばらくは失意の底にいたが、しばらくして、二人の子どもたちの運動会に行きたいと思ったという。


 「車いすおじさんが珍しいなら、珍しくない車いすおじさんになるには?と考えて、朝の見守り隊に参加しました。」通学する児童とは毎朝じゃんけんをし、すぐに親しくなった。


 そんな活動を続けていたある日、「金子さん、授業参観はどうなさるんですか」と先生。「いえ、うちの子どもたちは2階なので…。」と言うと「大丈夫、私たちが持ち上げますから」と、諦めていた授業参観に参加できたという。「〝心のバリアフリー〟を感じた瞬間でした。」


 和食の料理人の腕を活かし、2018年に「わっ嘉」をオープン。軌道に乗り始めた矢先のコロナ禍。「正直、あとどれくらい店が持つんだろう…。なんて思ってしまうこともあります。障がいがある人もない人も集まれるようにと作った場所なのに『集まってはいけない』と言われているんだから。」
 お弁当を求めにくるお客さん以外、来客がゼロの日も少なくないと話す。

 「それでも、焦りや危機感は原動力なんです。集まっちゃいけないのなら今後どうするか試行錯誤していきます。自分に今できることは何なのか。」

 今回、一般社団法人障害者就労支援ネットワークP&P代表の奥岳洋子さんの要望に応え〝おりづるガチャ〟の設置を快諾したのも、そういった気持ちがあるからだ。

 「中途障がいを負っても『自分の居場所を作ってほしい』少しでも前を向いてほしいんです。私が〝目立つ存在〟と気づいたのは退院してからの他人の目です。そこで気持ちが落ちました。だけど私は車いすテニスをしたりボランティアなどをして、少しずつでも社会と関わるようにしていきました。自分の居場所が見つかれば、社会もそんな人たちの居場所を作ってくれれば、何かが大きく動くと思うんです。」そう話す金子さんの目には、決意が宿る。
(取材・文=松原美穂子)


和風ダイニングわっ嘉/柏市西原2‐1‐3(東武アーバンパークライン江戸川台駅徒歩7分)
☎04・7193・8188


■障がい者の収入アップを目的としたおりづるガチャプロジェクト

一般社団法人障害者就労支援ネットワークP&Pによる「障がい者が自分たちの力で収益を生み出すこと」を目的としているプロジェクト。「折り鶴」「おみくじ」「手書きのメッセージ」をカプセルに入れ、1回500円で販売。作業は全て福祉事業所でおこなわれ、工賃は現状のおよそ10倍になる。

 
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お問い合わせは、050・1547・5437(奥岳)まで