国境を越えて旅する⽔⿃たちの憩いの場

ふれあい毎日連載

谷津干潟周辺

 京成線に乗った。都会のオアシス「谷津干潟」を目指して、谷津駅で下車。南口の谷津遊路商店街を少し歩くと、花木の広場に出る。木々が大きく茂り、貴重な自然を大切にしているのがわかる。

谷津バラ園をやり過ごし、先へ歩くと、葦の繁みの向こうに広い谷津干潟が現れた。冬の日差しを浴びて水面が静かに輝いている。

のんびりとまどろむ陽だまりの猫に挨拶をして、観察壁ののぞき窓から野鳥を探した。遠くにサギを発見する。

鳥についての説明パネルが設置されているので、名前を覚えるのに便利だ。国境を越えて旅する⽔⿃たちの憩いの場だ。

 一周3.5㌔の遊歩道が干潟を取り巻いている。行き交う人々は散歩をゆっくりと楽しんでいる。干潟に目をやると、口ばしが黄色い野鳥がいた。ダイサギだ。ヒドリガモやコガモも泳いでいる。

 南側観察路にはクロガネモチが赤い実をたくさん付けていた。説明の木札によると、枝や葉を乾かすと鉄色に変色するそうだ。ここは1993年に干潟として国内で初めてラムサール条約に登録されている。国指定谷津鳥獣保護区である。

 自然観察センターの中へ入ると、等身大の野鳥のオブジェが出迎える。

アオサギ、ダイサギ、コサギ、ハシビロガモなど。繁殖地、中継地、越冬地とわかりやすく渡り鳥のルートが図で示されている。

望遠鏡で干潟を見ると、野鳥の動きが手に取るようにわかり、おもしろい。Café Oasisでひと休みしようと中へ入ると、目の前に淡水池が広がっている。

このカフェは双眼鏡の貸し出しがあり、池に来た鳥の様子を見ることができる。軽食は焼きおにぎりセットを注文。海苔で切り絵のように作られた鳥と蟹がおにぎりの上に乗っている。みそ汁と温かい唐揚げ付きはうれしい。

 干潟へ来たときは水が東京湾へと引いて行く時だった。月が地球に及ぼす引力などが原因の干潮だ。帰るときに見た物思いにふけるゴイサギとその背後から進み寄る6羽のカモの光景も、人の姿を見るようでおもしろく、自然のダイナミズムと生き物たちのドラマを感じた。