とても暑かった夏がやっと終わる。「谷津遊路商店街」へ行ってきた。京成谷津駅から谷津バラ園へ向かって、約200㍍の商店街だ。まっすぐなので、入口に立つと商店街の終わりまで見渡せる。商店街事務所前で手に入れたMAPによると31の店舗や施設がある。手書きの地図は高齢者にも親しみやすく好評だそうだ。
入口近くの世界の雑貨「ゼフィロス」へ入った。各国の手仕事を活かしたエスニックな雑貨やフェアトレードの商品に目を奪われ、ドライフルーツを一つ買う。「何か買うと散歩にも弾みがつく」と評論家で散歩の達人、植草甚一氏が言っていたっけ。
近くの「鈴之助」の店先ではマスターが串焼きを作っている。煙が鼻先をかすめ、街にたなびいている。いい感じだ。
さらに先には大久保のマルシェで飲んだクラフトビールの工房「むぎのいえ」の看板が出ていた。
その隣にはCafe「螢明舎」の洋館が静かに佇んでいる。小さな前庭に腰かけていた老紳士に「今日は定休日なんですね」と声をかけた。
80代と思しき紳士は「戦後都内から引っ越してきた。昭和22年ごろは、高速道路はなく、自宅から海が見え、泳ぎに行ったものだ。この辺は当時、畑の畦道。露天商が店を出していたのを覚えている」と昔を懐かしむ。
商店街の中央に共同組合事務所があるので、理事長の風見一輝さんにご挨拶。風見さんは精肉店「ハローマザーズ」を経営している。
商店街の街路樹になっているネムノキに似た植物について尋ねると、「南米原産のジャカランダという木で、美しい青紫の花をつける。今年は6月に見事に咲き、通りを華やかにしてくれた。
10月6日には秋まつりがあり、ハロウィンやアートフリマをやります」と風見さん。そういえば、ジャカランダの花を歌った曲があったことをふっと思い出した。
生活に密着した毎日のお買い物が楽しそうだ。心地よい近所づきあいが出来るこの地域を、ジャカランダの花の咲く頃、再度訪問したい。
■自由気まま散歩データ。京成谷津駅から約1キロ、ゆっくりのんびり1時間。