旅スケッチ

ふれあい毎日連載

秋風を受けて

道の駅やちよ~新川沿いを自転車ハイク

 国道16号線と新川(印旛放水路)の交わるところにある「道の駅やちよ」へ行ってきた。

 入口付近で搾りたての牛乳を使ったアイスクリームを販売している。農産物直売所では畑から直送の地元新鮮野菜が並び、この季節、梨や栗もいっぱいだ。ピーナッツスクエアでは珍しい調味料などが並んでいて、料理好きにはたまらない。

 対岸にある「やちよ農業交流センター」で自転車を借りた。1日大人500円、9時から16時。さっそく緩やかに流れる新川沿いを走りだす。

「ほたるの里」の看板を発見。この場所は生物多様性保全上重要な里地・里山に選ばれている。遊歩道ではジョギングしている人や散歩を楽しんでいる人もいる。朝と夕方はもっと人が多いそうだ。対岸の釣り人が、のどかな風景に溶け込んでいる。

 城橋、宮内橋と過ぎて、ゆらゆら橋まで来ると、犬を連れた夫婦や図書館や市民ギャラリーにやって来る人の姿が見られる。私は自転車を降りて、ギャラリーに併設されているカフェに入り、ランチをとった。天井を見上げると、龍のオブジェが空中を泳いでいる。これは現代美術家浅井昭氏の作品「白いドラゴン」だ。空間が広いので、ドラゴンの飛翔が気持ちよさそうだ。

 昼食後すぐ近くの「やちよ絵手紙の森美術館」へ入った。瀧下白峰、むつ子夫妻合作の作品が多数並んでいた。語りかける言葉や一片の詩が優しい。妻の淡い絵と夫の書、この組み合わせが独特の世界を作り出していた。オーナーの瀧下むつ子さんは「開館して16年、絵や文を見て涙している人もいた。感想ノートにも多くの人が心に触れた思いを書いてくれる」と快活に話す。10月11日~11月19日は「秋色の草花たち絵手紙原画展」を予定している。

 帰り道、農家の庭先で梨、葡萄、野菜などを販売していたのでシャインマスカットと茄子を購入。

サービスにオクラもいただく。81歳の太田さんは「もう梨園はやめる。うちは400年続く家、昔は麹屋をやっていた。家系には太田亭可楽という歌人もいたよ。郷土史家がときどき尋ねて来る。近くに戦国時代の武将、村上氏の居城跡や米本神社などがあるから行ってみたら」と地域の歴史も話してくれた。突然会話に出てきた太田亭可楽、気になる人物である。

 道の駅に戻り、テラスで楽しみにしていた牛乳アイスを食べながら、サイクリングの楽しさを振り返った。

※今回の散歩Data:新川周辺往復約10キロ、約3時間。