街並みにアーティストのデザインしたのれんが揺れる

JR市川駅で下車して、アイ・リンクタウンの45階展望室へ向かった。江戸川の風を感じられる回廊となっていて、市街は元より、スカイツリーやディズニーランド、富士山まで見渡せる、入場無料の観光名所だ。これから散歩する大門通りが真間山弘法寺(ままさんぐほうじ)まで一直線に延びているのが確認出来た。
地上へ降りて、万葉の道と言われる大門通りへ入る。左側の酒屋の入り口に掛かった、アートな
のれんが目を引いた。

酒屋は三代続く武藏屋で、姉妹でやっているという。「こののれんは第4回KUGURU展と名付けられ、5月6日まで開催中です」と妹さんの方が答えてくれた。店頭にあった周辺地図を手に取る。市川、真間近辺の81店舗が参加、71名のアーティストが制作したのれんと各店舗とのマッチングが楽しい散歩の始まりを予感させる。

隣の雑貨屋「あさのや」へ入った。センスの良いディスプレイや小物に興味が湧く。いい額縁を見つけて手に取り、持参した鉛筆画を合わせてみた。
その先には珈琲店やベーカリーカフェ、クレープ店などが続く。十字路まで行くと、左手にクリーム色の瀟洒な建物が見える。エステサロン「ルナピェーナ市川」だ。若い男性も皮膚のメンテナンスに気を使う時代だそうだ。中庭では様々なイベントも開かれる。


大門通りを半分ほど歩いただろうか。四ツ辻に「ギャラリーf」がドアを開けて道行く人を待っている。通常は絵本の販売。画廊でもあり個展やイベントなどを開催する。小さな空間だが、ここから、広く深い世界に繋がっていそうな気がする。


小腹がすいたので和菓子「大門岡埜(だいもんおかの)」で桜もちと蓬もちを購入。桃色と若草色の春色に魅かれた。

手作り作家の小さな作品が多数展示販売されている「スタジオ・ベジーズ」も面白い店で、100年続いた小宮青果店の後にスタートした。紙と糸で制作されたガチャが人気。子どもから大人まで楽しめる空間だ。


真間の継橋(つぎはし)を渡り、弘法寺の急な階段を上る。散歩の日は、境内の伏姫桜はまだ小さな蕾の状態。

この新聞が発行される頃が見ごろかも。樹齢400年には驚く。階段を降りて、手児奈霊堂を通過、真間川へと向かう。真間小学校正門から下校する小学生が溢れ出てきた。
浮島弁財天の先に3名の文学者、宗左近、中野孝次、山本夏彦についての説明板を発見。中野氏の「ブリューゲルへの旅」はとても印象深かったことを思い出した。


駅前の「セレンディピティ」カフェに入り、足を休める。店名は「予期せぬ幸運な出会い」という意味。偶然出会った男女の恋物語を描いた同名の映画があった。カウンターや椅子、壁などはオーナーの手造り。

常連客が集まり、話に花が咲く。このカフェでニューヨークをテーマにしたイベントがあった時、私もレコードを持参し、DJをやり、楽しんだ。

◆今回の散歩データ:JR市川駅~真間山弘法寺~京成市川真間駅約3キロ、徒歩約3時間。
【たっちゃん】千葉県在住。ワインを愛し、テーマに沿って、アートとレコードを楽しむ会を主催する。古書探索と街歩き、料理作りが日課。