佐久間象山(1811-1864)
ふねよせし
安政7(1860)年
35.9×6.1㎝ 彩箋墨書 1幅
成田山書道美術館蔵
もうすぐお正月、この一年は皆さんにとって満足のいく一年だったでしょうか。来たる年のお正月には筆をとってご自身の想いを書いてみるのも良いでしょう。
今回は佐久間象山(さくましょうざん)が元旦に詠んだ歌をご紹介します。短冊に書いたこの歌は、西村大八郎に贈られたものと付属の書簡から解ります。西村は鍛冶職人だと思われ、象山は新式の銃を製作依頼していました。
思えば幕末安政年間、相次ぐ異国船の来訪や西欧列強のアジア進出を目の当たりにしてきた象山。歌からは日本を背負う国士の息遣いが感じられるようです。象山は中国唐時代の忠臣、顔真卿(がんしんけい)の書をよく学んでいました。書は人なりを感じさせる一例です。(学芸員 山﨑亮)
【釈文】
ふねよせしよものゑみしもけふこそは
わかひのもとのはるをいはゝめ 衡樹
1月1日(水)に「新春特別展 成田山の美術 新勝寺に集まる古今の書画・工芸」が開幕します。今回の展覧会では、新勝寺や成田山文化財団の所蔵品を中心に、さまざまな時代の名品を展観します。かつて深いご縁で新勝寺と繋がった多くの美術品が、ご見学の皆様との新たなるご縁を結ぶきっかけとなることを願って止みません。
▽会期 :令和7年1月1日(水)一2月16日(日)。
▽休館日 :1月14日、20日、27日、2月3日、10日。
▽開館時間:9時-16時(最終入館は15時30分)。
正月三が日は開閉館とも30分延長。
▽新春書き初め:1月2日(木)12-15時(随時)。
※館内にて、体験は無料(要入館料)。