アスリートを陰で支え、スポーツの楽しさを伝える-セノー株式会社

なにつくってるの?東葛工場拝見

スポーツは、アスリートにも観衆にも共通の感動を与えてくれるものだ。


 今回は、華やかなスポーツ競技を裏で支えている道具たちに注目してみよう。例えばバスケットのゴール、バレーのネットや審判台、床体操の床、つり革、鞍馬等など、実は日本製が少なくない。これらの製品は、国内のみならず国際大会でも使用されている。そんな縁の下の力持ちが、松戸市に本社を構えるセノー株式会社だ。数多くの世界大会で使用されるスポーツ器具を生産している。


 セノーの始まりは、1908(明治41)年、鳥取県の勢能家が個人商店を始めたことにさかのぼる。その後、学校で使用される壁に設置している梯子に似た運動器具─「肋木」(ろくぼく)の生産から跳び箱、マット、鉄棒など学校体育の分野で成長していった。
 2012(平成24)年にはミズノグループに参加し、更に発展を遂げた。今やセノーの体育器具の国内シェアは約60%となり、納品先の70%は官公庁、全国の学校、市区町村の公共施設等を占めている。


 製品は、群馬県沼田市の工場や外注で生産し、3~4年かけて耐久テストを繰り返し、松戸市本社でまとめて出荷・納品。メンテナンスについても60人を抱える専門の関連会社を運営し、フォロー体制も万全だ。今後は、自社製品だけでなく他企業の製品もメンテナンスしながらスポーツ利用者の安全を確保する、より総合的な体制作りを強化していく。また、海外に向けての製品づくりにも力を入れており、「スポーツは公平であり、品質にばらつきがあってはならない」という理念のもと、国際認定機関において認定・証明された確かな品質のセノー製品として海外の取引先からも信頼されている。

 

ジムでなじみのあるスポーツ器具


 尾崎徹也社長は、今後の展開として「高齢化に向けて家庭内で体力づくりができるようなお手伝いをしていき、また、一般の人々にとってスポーツが身近なものとなるような環境づくりも大切だと思います」と語る。
 コロナ禍において、家庭での過ごし方が見直されている今、健康維持に人々の関心が集まっている。スポーツ分野でもより一層、感染予防や公衆衛生が重要になってくる。


 セノーは今後の100年先をも見据えた企業を目標に、スポーツの感動と人々の健康意識の向上に携わるオピニオンリーダーとして前進を続けている。


(取材・文=高井さつき/撮影=高井信成)


■セノー株式会社
松戸市松飛台250番地
☎047・385・1111