レイソルの中盤にまた新しいタレントが加入した。背番号35のヒシャルジソン選手。愛称「ヒシャ」だ。
ヒシャのポジションはチームの攻守を司るボランチ。ピッチ狭しと駆け回りボールを奪う。あるいは多彩なパスをリズム良く繰り出して攻撃を演出する。
「得意のボール奪取でチームに貢献できると思う。奪った後も攻撃に繋がる適切なパスを送れるのが自分の特長なんだ。ボランチを中心に守備的にも攻撃的にもプレーができると思う」
そう自ら語るように、ブラジル時代は強度の高い守備でリーグ有数のボールハンターとして鳴らした。
レイソルでのお披露目となったジェフユナイテッド千葉との「ちばぎんカップ」でもその片鱗を十分に漂わせた。驚くべきはそれらの能力を繰り返すプレーの連続性と知性。多くの外国人選手が戸惑うJリーグ独特のスピード感にも適応しながら、ヒシャはゴツゴツと音がするようなボール奪取から適切なポジショニングからのパス出しを90分間繰り返えし自らを表現した。
「スピードには問題を感じていない。多くのパスを繋ぎ、ボールを保持して攻撃的に戦う、レイソルのスタイルの中で自分が更にどうフィットできるのか、分析を続けたい。千葉戦では劣勢もあったけど、上手く対応できたからポジティヴな感触を得たよ。大丈夫」
ただでさえ、これだけの聡明さや能力を持った27歳のブラジル人ボランチ。3年間所属したセアラーSCから活躍の場を移すにあたっては欧州やアジア諸国という選択肢もあったはずだが、新天地として日本の柏レイソルを選んだ。その理由はシンプルだった。
「迷いはなかったよ。選手というのは常に素晴らしい監督と仕事をしたいんだ。柏レイソルにネルシーニョ監督の存在は大きかった。だって、自分が子どもの頃から勝ち続ける監督だからね。今は『監督とチームメイト、サポーターとトロフィーを掲げたい』という気持ちで一杯さ。そのために必ずJ1復帰を成し遂げなくてはいけないね」
「クオリティ」、「勝利への渇望」、「リスペクト」―。レイソルが「居るべき場所」へ還るために必要な要素をヒシャは備えている。
(写真・文=神宮克典)