1年で最も寒くなるこの季節は、血管が詰まってしまう血栓症も多くなると言われています。毎年1月20日は血栓症の日とされており、今回は血管が詰まってしまう病気について皆さんと一緒に勉強してみたいと思います。
血栓症という言葉は血管が血の塊等で詰まってしまった状態を指しており、その原因や部位はさまざまです。動脈が詰まることも静脈が詰まることもあり、その場所によって症状等が異なってきます。心筋梗塞と脳梗塞はそれぞれ心臓と脳の血管が閉塞してしまうことによる病気で、その発症率は比較的高く、ありふれた病気である一方で、恐ろしい症状と予後の悪さから世間一般にも広く知られています。その他に腸や足の動脈が詰まって具合が悪くなる病気もあります。
動脈に血栓症が生じて引き起こされる病気は色々ありますが、実はその原因はほぼ同じで、多くの患者さんの場合「メタボ」と「高齢」のダブルパンチにより引き起こされています。肥満や運動不足、喫煙、高血圧、糖尿病、脂質異常症などを治療する最大の目的はこの恐ろしい血栓症を予防することにあります。
また、ある程度若いころは「自分はタバコを毎日吸っているのに健康だ」と言っていられることは多いのですが、その血管へのダメージが蓄積してきて歳をとった頃にこの病気が突然襲ってきます。そして一度ダメージが蓄積された動脈をもとの状態に戻すことはできません。
静脈の血栓症で有名なのはエコノミークラス症候群でしょうか。これは長時間同じ姿勢で動かなかった場合に足の太い静脈の血流が淀んでしまって血栓ができ、それだけならまだマシで、その血栓が心臓を経由して肺に飛んで行ってしまって肺動脈を詰めてしまうという病気です。とくに長時間の飛行機などでは一定時間ごとに席を立ってストレッチをするなどの対策が有効です。
血管が詰まってしまう血栓症は非常に恐ろしい病気ですが、多くの場合生活習慣の見直しにより予防することができます。
寒くなるこの季節、いま一度健康的な生活習慣の重要性についてご家族やご友人と話し合ってみてはいかがでしょうか。
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