熱中症対策

名戸ヶ谷病院 脳卒中センター
名戸ヶ谷病院 脳卒中センター・センター長 脳神経外科部長 井上 靖章

 暑い日が増えました。熱中症対策を含め、脱水の予防を十分に行いましょう。

 「脱水になると血液がドロドロになって脳卒中になりやすくなる」という話はよく耳にしますが、実は医学的には証明されていません。現時点でわかっていることは、「高齢者の場合、脱水があると脳卒中になった際に重たい症状になりやすい」ということだけです。脳梗塞を起こしやすい可能性を示唆するデータもありますが、断言できるほどのものではありません。
 要は「脱水と脳卒中、ちょっとは関係していそうだが、そんなに気にするほどの話ではない」ということです。

 一方で、高度な脱水や熱中症そのものの危険性は周知の通りです。暑いときはマメに水分補給をし、脱水にならないようにすること、体温が上がりすぎないようにすることが大切です。

 ただし、必要以上に塩分や水分を取ると、むくみの原因や高血圧に繋がる可能性もあり、特に高齢の方は心不全などの原因にもなるので、こちらも注意が必要です。スーパーなどで塩のタブレットが売られていますが、炎天下の屋外で長時間活動して多量に汗をかくという方以外は、通常の日本人の食生活で十分塩分が摂取できているので必要ありません。水分も、汗をかいた分だけ意識して多めに摂る程度で十分です。

 何事もやりすぎは健康によくありません。テレビや雑誌などで視聴率を稼ぐために、キャッチーな言葉を使って特定の方法を過剰に強調したりするのを目にしますが、そういう小手先の方法論ではなく、日常の生活習慣を改善するのが最も効果的です。

 定期的な運動、腹八分目、十分な睡眠、禁煙、高血圧や糖尿病などのコントロール、こういったどこでも耳にする基本的な方法が長期的な健康に繋がります。健康への機運が高まっている今こそ、生活習慣の改善に取り組んでみませんか。

社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院脳卒中センター(新柏駅から徒歩約7分)
☎04・7167・8336