今回ご紹介するのは、43歳の若さでこの世を去った女性活動家エリノア・マルクスの半生を描いた『ミス・マルクス』です。
1883年、イギリス。19世紀を代表する哲学者、経済学者カール・マルクスが死んだ。最愛の父カールを失った末娘エリノア・マルクスは政治活動の中、社会主義者のエドワード・エイヴリングと出会い恋に落ちる。エリノアは社会主義とフェミニズムを結びつけた草分けの一人として時代を先駆けながら、不実なエイヴリングへの愛と政治的信念の間で心が蝕まれていく――。
エリノア・マルクスを演じるのは『エンジェル』(07)、『つぐない』(07)のロモーラ・ガライ。引き裂かれていくエリノアの孤独な魂の叫びがロモーラ・ガライのパフォーマンスで見事に体現されています。脚本・監督を手掛けたスザンナ・ニッキャレッリはエリノアの生き様にアメリカのパンクロックバンド、ダウンタウン・ボーイズの楽曲を重ねた大胆な演出で本作をヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門、ベストサウンドトラックSTARS賞を含む2冠に導きました。
時代を超えて甦るエリノア・マルクスの激動の半生を是非キネマ旬報シアターでご覧ください。
(大野健志郎)