スポーツの祭典と音楽

K太せんせいの「放課後の黒板消し」

放課後の黒板消し91

 今夏開催のパリオリンピック、パラリンピックの興奮はいまだ続いています。テレビをつければメダリストがJAPANのジャージにメダルを下げて登場したり、はたまたユニフォームではない私服姿を披露して注目されたり。

各地で行われる「報告会」や「表敬訪問」、「スポーツ振興イベント」のニュースではスポーツの祭典が持つ意義やエネルギーを感じます。特に憧憬をもって代表選手の一挙手一投足、一言をも逃さないようにキラキラした目で見つめる子どもたちの姿には、未来のオリンピアンの種が確かに蒔かれたのだと感じます。

さて、そんなパリオリンピックの女子ビーチバレー決勝での一幕。張り詰めた試合中に選手同士が激しく口論を始めてしまいました。間に審判などが入って事を納めようとしますがヒートアップした両者はなかなか引きません。

観客を含めその場にいた誰もが「どうなってしまうのか」と緊張し不安になったその時です。会場のBGMを担当していたDJがジョン・レノンの「imagine」を流したのでした。

国の代表同士が優勝を競っている会場に「想像して、そこに国なんてないと…全ての人達がこの世界を分かち合うんだ…」と静かに流れる音楽。やがてそこに観客たちの合唱が加わり、遂には争っていた選手たちの顔にも笑顔が戻ったのでした。

 10月には多くの学校で体育祭が行われます。選手や応援団、運営係が一致団結するこのスポーツの祭典にも「音楽の力」は絶大です。クラシック、ポップス、アニメソング、ジャズ等々、多様な音楽が、競技中はもちろん入場行進、開閉会式、表彰などを彩ります。

中には吹奏楽部の生演奏が入る学校もあります。大会の始まりを告げるファンファーレが響き渡り、アンサンブルが登場しては入退場や用具準備の合間を繋ぎます。体操服で奏でられる華やかな音楽が一層大会を盛り上げ、感動的な青春の1ページを作ります。

■K太せんせい

現役教師。教育現場のありのままを伝え、読書案内なども執筆する。