高い技術力を持ち、優れた工業製品に贈られる「千葉ものづくり認定製品」。認定された製品は、県の販路開拓の支援を受け、内外に向け情報発信される。
㈱あおごちが製作したヘルメット装着型サウンド・システム「add Sound」が、昨年度の「千葉ものづくり認定製品」に選ばれた。この製品は、販路はインターネットの自社サイトHPのみでありながら、バイク好き、音楽好きの目にいち早くとまり、2020年の発売から1500台を売り上げるヒットとなっている。
新型コロナウイルスの影響で材料が入手困難となり、売り切れの状態が続いていたが、ようやく10月末に再販の見込みとなった。
この製品の特色は、手軽にヘルメットに取り付けることによってヘルメット自体がスピーカーとなる点。実際に装着し、音を聴くとその迫力に驚く。骨伝導を応用して音が聴こえる仕組み。従来の製品のようにイヤフォンで耳をふさがないので、走行中でも周りの音が聴こえ安全性にも優れている。
音楽の再生・停止は、ヘルメットを軽くタップするだけという画期的なシステム。特許は取得済。
スマホとBluetoothの連動により、ストリーミングなどの音楽はもちろん、LINEなどを使った電話の会話、グループ通話も可能。現代のITの技術を集結した新時代に向けた製品だ。
俳句の季語である「東風(こち)」と「青」を組み合わせたという㈱あおごち。日本から世界へ発信する企業を目指し2017年に創立。代表取締役の山田斎さんは、かつてセイコーインスツルに勤務していたエンジニア。その知識と経験を生かし、長年の夢であったサウンド・システムが形となった。
「インターネットの普及もあり、個人でのものづくりが可能になりました。今、時代を席捲しているスマホで操作する一般用のドローンも、初めは一人のアイデアから形になったもの。夢を実現するには、いい時代だと思います」と山田さんは語る。
幸運だったのは、試作品を手に取った銀行のほうから融資を申し出てくれたこと。これも成功の要因のひとつ。現在は、初期経費を抑え、設備の整う柏の葉にある東葛テクノプラザにオフィスを置く。
後々は、自社オフィスを構えることも視野に入れているそうだ。夢はこれからも大きく膨らむ。製品の情報はホームページでご確認を。
(取材・文=高井さつき/写真=高井信成)
■㈱あおごち 松戸市小山138‐25