単身高齢者の住まいが足りない!

ふれあい あごら

 単身の高齢者が増加している。中でも持ち家を持たない高齢者は、年金から家賃を払い続けなくてはならず、医療、介護に支出が増え、食費にかけられる生活費は減少、先行きの不安感は大きい。

 2015年、「生活困窮者自立支援制度」創設。きっかけは、2008年のリーマンショックに端を発した雇用、失業状況の悪化である。働ける稼働年齢層の貧困問題から、生活保護に至る前の生活困窮者に対して、全国どこでも体系的支援を行う仕組みが必要とされた。

 そこで社会保険制度や労働保険制度等の第1のセーフティネットでは救済できない人について、最後のセーフティネットである生活保護に至る前段階で支援を行う第2のセーフティネットとして創設されたのだ。

 自立相談支援、就労チャレンジ支援、家計改善支援、住居確保給付金事業、子どもの学習支援、法律相談等、様々な事業をもつ。その後2018年の制度改正を経て、今年は持ち家のない単身高齢者の増加を見据え、居住支援の体制強化のため改正がされた。自立相談支援機関への相談内容の中で、「住まいの不安」は「経済的困窮」の次に高い割合となっている。

 千葉県の場合、公営県営住宅の募集を年に4回行っており、低廉な家賃が魅力であるが、地域によって戸数に差があり、例えば市川市では元々県営団地が少ないため、空きはなかなか出ない。また、単身高齢者が入居可能な住宅は指定されており、エレベーターがあるとは限らないし、私が探した時に見つけたのは、階段のみで4階という物件で足の悪い高齢者には、そぐわないものであった。

 市川市の場合、入居可能な市営住宅は1982戸、そのうち単身者用が656戸で、高齢者向きの1階またはエレベーター付き住宅は479戸だ。

 しかし年に1回の募集のため、時期を逃すと1年待たなければならない。また毎年300件以上の申込、登録者が存在するが、実際には70世帯程度しか入居できていない。つまり、市営住宅が足りない現状なのだ。市は、築50年を過ぎる既存の市営住宅を耐用年数70年まで活用し、民間賃貸住宅を借り上げる方法で2035年迄にあと170戸増やす計画だ。。

 現在は宅建協会の支援を得て、年間を通して民間賃貸住宅の斡旋制度の紹介をしながら対応しているが、申請数に対して入居は少ない。令和5年3月に策定した市川市住宅セーフティネット計画によれば、高齢単身者世帯等の住宅に配慮を要する、住宅確保要配慮者は2035年まで増加傾向が続くと推計している。

 そこで2024年2月、「いちかわ居住支援ガイド」を作成し、市営県営住宅の案内、民間住宅の斡旋制度やバリアフリー対応の改修費助成、高齢者への見守り支援等の情報を提供している。高齢化が加速するこれから、益々ニーズが高まっていくと考えられる住まいの問題に、もう一歩踏み込んだ支援や対策が求められている。(市川市議  石原みさ子)