オーラルフレイルのチェック項目と対策

ふれあい毎日連載

日本大学松戸歯学部 有床義歯補綴学講座 専任講師 五十嵐憲太郎先生

オーラルフレイルのチェック項目

 かみにくい、話しにくい、飲み込みにくい、といった、高齢期のささいな口の機能の低下を「オーラルフレイル」とよびます。

 オーラルフレイルは、ご自身で簡単にチェックすることができます。5項目のチェックリストでご自身のお口の健康状態を確認してみてください。5項目のうち、2項目以上該当する場合はオーラルフレイルに該当します。

見落としやすい「滑舌」に注意!

 今回は口の機能の低下の中でも特に、「滑舌(かつぜつ)」についてお話ししたいと思います。

 オーラルフレイルのチェック項目の中に「普段の会話で、言葉をはっきりと発音できないことがありますか」という質問があります。

 歯科とは一聞すると関わりが少ない質問のようにも感じるかもしれません。他の人と会話する機会が減少してしまい、久しぶりに電話で話したら、以前より聞き返されるようになってしまった、などということはありませんか?

 発音をするときには、歯や口の中の状態のみならず、息を吐き出す呼吸に関わる筋肉や、舌や口もとの筋肉の動きが非常に重要になります。これらの筋肉が痩せ衰えると、声がかすれたり、うまくしゃべりにくくなることがあります。

 年齢とともにこれらの筋肉は量やパワーが減少していきます。また、これらの舌や口もとの筋肉の量やパワーの減少は、知らず知らずのうちに少しずつ進んでいきます。そのため、気がつかない間に滑舌が悪くなる、ということが起こりやすいのです。

 一方で、舌や口もとの筋肉を意識してうまく使うことで、滑舌の低下の速度を遅らせることが可能です。舌や口もとの動きは発音のみならず、食べ物を細かく咀嚼したり、スムーズに飲み込む上でもとても重要です。新聞や本を読むときに声をはっきり出して読む、早口言葉を練習する、など、些細な心がけを日常生活でしてみてはいかがでしょうか。

オーラルフレイルかな?と思ったら歯医者さんへ!

 オーラルフレイルに該当した場合、かかりつけの歯科医院に相談してみてください。

 近年では「口腔機能低下症」という病名で、保険診療でも口の機能の検査や低下への対応が行えるようになりました。

 日本大学松戸歯学部付属病院では、チェックリストに該当するような訴えを有する口の機能の低下が疑われる患者さん(50歳以上)に対して、口腔機能検査を行い、その状態に応じて必要な対応を行う「口腔機能検査外来」「オーラルフレイル外来」を開設しています。

 口の機能の低下は、歯や口のまわりの問題や機能の低下が原因となるだけでなく、身体的、社会的な問題とかかわりがあることもあります。自分の口の機能やその低下に関心を向けて、ときどきチェックすること、そして、低下しているかも、と思ったら、相談いただくことが大切です。

日本大学松戸歯学部付属病院

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