マウスピース型矯正歯科治療について

ふれあい毎日連載

日大松戸歯学部教授 根岸慎一先生(歯科矯正学)

歯科矯正学 根岸慎一先生

近年の技術革新、AIなどの発達により、矯正歯科でも様々な治療法が登場し始めました。中でも透明なマウスピース型の矯正装置「アライナー矯正」が大変な進化を遂げています。

アライナー矯正治療のメリットについて

最初に目標とする歯ならびのシミュレーションを行い、形の異なる透明なマウスピース(アライナー)を治療開始から最後に至るまでいくつも製作します。そのアライナーを1日20時間以上装着し、目標の歯ならびに近づくように1〜2週間ごとに交換します。

従来のワイヤーの矯正(マルチブラケット装置)と比べて、メリットは多く、透明で審美性が高く、取り外しができることが大きな特徴です。また、患者様が自身で装置を交換していただくシステムのため、ワイヤー矯正治療は1カ月に1回の通院頻度なのに対し、アライナー矯正だと数カ月に1度となり、来院頻度を減らすことが出来ます。そのため遠方からの来院でも治療を継続的に受けていただく事が出来ます。さらに治療前にシミュレーションにて治療の途中やゴールをあらかじめ確認できるため、歯科医師にとっても治療の進み具合を適切にチェックすることができ、患者様にとってもモチベーションの向上につながります。

では、デメリットは

しかし利点である「取り外し可能」なことは最大の欠点となる場合もあります。患者様の装置を装着する時間が治療の効果を大きく左右します。原則として1日当たり20時間以上使用できないと歯と装置の適合が悪くなり、治療が円滑に進まなくなってしまいます。

また、一見きれいに並んでいるように見えても、歯には根っこ(歯根)があり、適切な角度が存在します。ワイヤーとは違い、軟性の素材であるアライナーは、長い距離を動かしたりすると予期せぬ方向に倒れこんだり、歯根のコントロールが上手くできない場合があります。

矯正歯科治療の注意点

アライナー矯正は患者様にとってはメリットが大きいため、現在急速にシェアをのばしており、近隣の歯科医院や広告でも目にする機会は増えてきたと思います。しかし歴史の長いワイヤー矯正と比べてまだまだアライナーの適応ではない症例も多く存在します。

アライナー治療に限らず、歯科矯正治療を行い、トラブルになっている例も見受けられます。多くの時間やお金をかけて行う歯科矯正治療ですから、歯ならびの状態を詳しく診断できる技術や専門知識、経験を持った歯科医師にしっかり見極めてもらうことが大事です。

当院の矯正歯科では予約不要で矯正相談を承っております。歯科矯正治療をご検討の方は、ぜひ一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。

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