市川市の村越祐民市長は9月議会で、新型コロナウィルス対策を講じる中で、市民の健康と危機管理を充実させるためには、独自の保健所設置が必要不可欠と述べ、中核市への移行を進めると宣言し、市議会へ説明会を開いた。
現状は、保健所は県の管轄であり、現在の市川市保健所(市川健康福祉センター)は県の施設である。中核市は人口20万人が対象、県内では船橋市、柏市に次いで三番目となる。
業務としては保健所設置、保育所認可、児童相談所の設置、介護サービス事業所の指定、養護老人ホームの設置認可、産廃処理施設の設置認可等、様々な権限が移管される。
移譲される事務は約2500件で、そのうち約6割が保健衛生に関わるもの。これまで市川市では、中核市移行の議論に対し、多くの専門性を有した人材が必要になること、経費がかさむことを理由に、実現されてこなかった。
しかし、新型コロナ対策にあたり、感染や医療機関の状況に関する情報が限られているため、市内で感染症が発生したにも関わらず、自ら調査、指導、措置する権限を得ていないこと、そのため陽性者数や重症度をすぐに把握できない、PCR検査を拡充したり、軽症者を受け入れるホテルを確保するのにも、県との調整に時間がかかる等の課題があった。
独自に保健所を持った市では、詳細な情報分析により、保健所と部署の異なる職員もフル活用して、早期に相談窓口を開設したり、適切に患者の移送を行ったという例がある。
市川市の試算では、保健所業務だけで職員が約50人増、年約4億3600万円が必要となるが、市民サービス向上のメリットが大きいと判断、2023年4月の移行を目指す考えだ。既に県との協議が始まっており、今後令和3年度中に市議会の議決を経て、県議会の議決へと進む。自分たちの町は自分たちで守るという、自治の実現に大いに期待したい。