K太せんせいの放課後の黒板消し 59

K太せんせいの「放課後の黒板消し」

 日々の記録 つけていますか

 「今日はプール遊びをしました。お顔を2秒つけられました。少し鼻水が出ています」保育園では2歳位まで、先生がその日の出来事や成長の様子を「連絡帳」に記録します。保護者も家庭での様子や気づいたことを書いて、コミュニケーションをとりますね。

やがて3歳を超えると「シール帳」が登場し、幼稚園でも同様に、季節に合わせたシールや行事の時の特別なシールなどを貼りながら子どもたちの成長を見守ります。

小学生になると「予定帳」に自分で持ち物や連絡を書きますね。「運動会のプリント渡す」「体操服にゼッケンつける」といった具合です。

中学生になると「美術係です。明日はデッサンなので濃い鉛筆を必ず持ってきてください」など係からの連絡が加わります。この頃から、日々の出来事や想いを三行日記のようにノートに記録することが始まります。 

思春期の生徒から寄せられる声は、時に激しい怒りであったり、漠然とした不安であったり、友達や家族との悩みであったり…。はたまた好きなアイドルのことや、部活の先輩がかけてくれたうれしい言葉であったり。多感な時期に発せられるたくさんのサインに担任は毎日向き合って、コメントやハンコで応えます。

しかし個人の責任が強まる高校生になると、連絡は小さな手帳へのメモ程度となり、日々の出来事を記録する当番日誌が登場します。デジタル化が進んだ今日では、パソコン上に仮想教室が作られ、連絡やプリント配布も出来るようになりました。その機能を使って、コロナ対策の検温記録とともに日々の出来事も記録できます。そこには受験や恋の話など、青春の風が吹いています。

ポートフォリオと呼ばれる「活動記録」が大学入試や就職試験でも評価される時代です。自分と向き合える「日々の記録」。あなたはどのようにされていますか。

■K太せんせい

現役教師。教育現場のありのままを伝え、読書案内なども執筆する。