口腔粘膜疾患 粘膜類天疱瘡(ねんまくてんぽうそう)

医療最前線Drリポート

 Drリポート205

日本大学松戸歯学部

脳神経・頭頸部外科学講座 准教授 丹羽秀夫先生

歯科総合診療学講座 専任講師 遠藤弘康先生

脳神経・頭頸部外科学講座 准教授 丹羽秀夫先生
歯科総合診療学講座 専任講師 遠藤弘康先生

日本大学松戸歯学部付属病院は、歯学部付属病院として歯科・口腔領域に留まらず、首から上の病気を診ていくという方針で耳鼻咽喉科を開設し、日本でも数少ない歯科と医科が連携して診療を行っている病院です。

耳鼻咽喉科は正式には耳鼻咽喉科・頭頸部外科といいます。耳、鼻の病気だけでなく、のどや首の病気まで扱います。範囲は狭く思われますが、それぞれの部位で病気の種類が異なり、炎症疾患、神経疾患、腫瘍等と多岐に渡っています。

また、治療方法は内科的治療から外科的治療と、皆様が思う以上に幅広い分野です。歯学部付属病院にある耳鼻咽喉科のユニークな面を今回から3回にわたりご紹介します。

歯を磨いても磨いても歯肉が良くならなったら

粘膜類天疱瘡(ねんまくてんぽうそう)かも

いくつかの全身疾患では、口の中にも症状が出ることが知られています。自己免疫性水疱症のひとつである粘膜類天疱瘡は、最初は歯肉に発症します(写真1)。

写真1 歯肉病変

この病気は口の中以外の全身のあらゆる粘膜にも発症する可能性があります。喉頭に出来ると窒息する危険性と眼の場合は失明する危険性があります。粘膜類天疱瘡は比較的珍しい疾患で国の指定難病です。

粘膜類天疱瘡の歯肉症状は、プラークが原因である通常の歯肉炎と同様に、発赤や出血、腫れがみられます。そのため、患者さんはまず歯科を受診します。注意深く口の中を観察し、患者さんの訴える症状をよく聞き、通常の歯肉炎と鑑別することが大切です。

歯周治療や、抗菌薬処方で治療効果はないことが診断の一助になります。また、血液検査や細菌検査でも診断できないのが現状です。診断を確定するには歯肉を切り取る病理組織検査が必要になります。

歯科、医科の連携が必要

粘膜類天疱瘡は、診断が遅れると全身症状を示し重篤になる可能性があります。そのため治療は歯科だけではなく医科と連携して包括的に行うことが必要です。日本大学松戸歯学部付属病院では歯科と耳鼻咽喉科が連携して粘膜類天疱瘡の診断および治療を行っています。

歯肉の病気から粘膜類天疱瘡と診断された患者さんは耳鼻咽喉科を受診してもらい内視鏡による鼻、喉の検査を行います。

私たちの経験では、歯科を受診した粘膜類天疱瘡の患者さんのうち、約4割の人が上気道(鼻、咽頭、喉頭など)にも病気が合併していました。窒息の危険性がある喉頭病変は2割の患者さんにみられました(写真2)。

写真2 喉頭病変

このことは、たとえ患者さんの訴えが歯肉症状だけであっても、耳鼻咽喉科での検査が必要である事を示しています。そうすることで、口の病気から全身の病気を早期に発見でき、治療を開始することができます。私たちは、歯科と耳鼻咽喉科の連携の必要性を、学会発表や論文を通して世界に向けて発信しています。

■日本大学松戸歯学部庶務課☎047・360・9567。

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