◆紀くん(小1)、最近の遊びのお気に入りは友達と一緒になって真くん(21歳)とおいかけっこをすること。真くんは快活で優しく、いつも全力で子どもたちと遊んでくれている。
ある日、ゆうびから元気のない様子で帰ってきた紀くん。しばらくしてお母さんに「後悔してる…」と大泣きして訴えた。驚いてお母さんが何事か問うと、ゆうびで遊んでいる中で真くんと鬼ごっこをしていて、それが高じて友達と、真くんのイヤホンを隠した。そして、そのまま帰ってきてしまったとのこと。「イヤホンは真くんの大事な物なのに…。帰る途中にどうしようって気が付いた…スタッフに言えばよかった」などと泣く。お母さんが今から電話で聞いてみようとゆうびに電話。電話口にはスタッフの誠さんが出た。紀くんが「お母さんはあっち行ってて」と自分で誠さんに事の顛末を話した。「イヤホンが壊れてないか心配」と伝える。誠さんは紀くんに優しく「壊れてないか真くんに聞いてみようか」と言い、ほどなく折り返し電話をかけてきた。「真くんに確認したらイヤホンは見つかって、壊れてなかったし、汚れもなかったということです。前後どういういきさつがあったか僕は分からないけど、人の者を隠して遊ぶのは、僕は好きじゃありません」と言われ、紀くんはしゃくりあげながら「わかった」と言って電話は終わった。
紀くんの小さな胸の中に、誰に責められたわけでもないのに「わるいことをした」という気持ちが湧きあがった。そしてそれを、叱られるのが分かっていながら人に伝えた。これは紀くんに、自分の過ちと向き合う力が育っているということだと思います。自らの過ちと向き合うことは厳しいことです。昔はよく「誰も見ていなくても、お天道様は見ているよ」と大人から言われたものでした。『親に怒られるから』、や『ルールだから』ではなく、自分のことが好きでいられるかどうか。自分の中にお天道様を住まわせることができるようになることが、子どものこれからの人生の大きな財産になります。
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NPOゆうび小さな学園 杉山麻理江