今から30年近く前のことです。私が小学5年生のときクラスに、学校に来ていないSちゃんという女の子がいました。当時はそのような子は珍しく、『不登校』より『登校拒否』という言葉を使っていたように思います。
担任の先生はSちゃんと学校の接点をなんとか持とうと熱心で、クラスの女子に「学校においでよ」などの内容の手紙を書かせたり、Sちゃんを囲んでカラオケに行く機会などを設け、奮闘していました。Sちゃんはその場では楽しそうな様子で、1,2回学校にも来ましたが、その後学校に通うことはありませんでした。
生徒が不登校になると、なんとか来てほしいと先生が思われるのは今も昔も自然なことです。しかし、そのアプローチの仕方もまた、一昔前とあまり変わっていないようです。
「先生から数日おきに電話がかかってくる」、「クラス全員が書いた寄せ書きが送られて来る」、「行事に参加したかったら三者面談に来るようにと誘われる」など。
このようなアプローチ(登校刺激)がうまくいった話を、私はほぼ聞いたことがありません。むしろ学校を休んでいる間も、学校からのプレッシャーを感じ不安定になる子が多いです。不登校相談に親御さんがゆうびに来られる頃には、「学校から着信があると動悸が…」と学校とのやり取りに疲れ切っている方もいらっしゃいます。
アドバイスとしては、学校とのやりとりはなるべく最低限にする。「訪問してプリントを渡さなければならない」などと言われたら2週に1回くらい、こちらから取りに行くようにする。欠席の連絡が心苦しいならば出席するときだけ連絡するようにさせてもらう。
先生と保護者は対等。率直に伝えましょう。先生もお忙しいなか、互いに負担がないのが一番です。
不登校はなにも学校と敵対するものではありません。たまたま学校がその子には合わなかっただけ、と親も先生もシンプルに捉えられれば楽になります。
減らせるストレスは減らし、学校のことで親が疲弊するのを避けましょう。
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