今まで何の問題もなく、元気に学校に通っていたわが子。その口から「人生でたのしいことなんて一つもない」、「死にたい」などの言葉が飛び出して来たら…。
◆志くん(小5)、学校への行き渋りが始まると同時に、ちょっと気に入らないことが起こると「死にたい」、「自殺する」などの言葉を1時間位叫び続ける。母親は「大丈夫だから」と抱きしめながらも涙が出る。
◆都さん(高1)、頑張り屋で、小・中学と順調な生活だったが、ある日ぱったりと起きられなくなり、そのまま引き籠る生活になる。手芸などが好きで手を動かしているときはたのしんでいるが、ふと暇な時間ができると「この先いいことなんてない」「生んだ責任を取ってほしい」と母親に訴える。
こんな話題が先日の親の会で出ました。子どものネガティブな言葉に、周囲の大人はどう対応したらいいでしょうか。親ならばショックを受けて当然です。「そんなことない!そんな言葉言っちゃだめ!」と激しく否定したくもなるでしょう。
不登校のステージを卒業しつつある、高校生の子を持つKさんは「ネガティブな言葉が出ているのはむしろいいこと。いつもニコニコ元気にしている子の方が心配」と言います。ネガティブな感情を胸の内にためずに吐き出せるのは子どもにとって、大きな力です。自分を傷つける行動に出る前に、どんどん吐き出した方がいいとも言えます。一方、そうは言っても受け止める方は、毎日ともなるとやはり辛いです。ネガティブな言葉を浴び続ける、親の心のダメージが心配です。
Kさんは「『死にたい』の言葉の中には『学校に行っていない自分が情けない』とか『先が見通せなくて不安』とか『お母さんは私をどう思っているの』とかいろんな感情が含まれていると思う。『死にたいくらい辛いんだね』と受け止めながら、子どもの気持ちを推し量って、翻訳することも必要だと思う」と話してくださいました。
子どもから『死』というワードが出たとき、もちろん慎重に、丁寧に状況を見ていくことが大前提です。それと同時に、その言葉に隠された別の言葉を見つけられると、親も子も一歩先に進める手助けになるかもしれません。
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