弱音を吐きにくい世の中で

子どもの広場 ゆうび

親しい人が悲しみに暮れていたらどうしますか?

 そっとしておく、そのことは話題にしないという人が多いかもしれません。私自身、相手が話してくるまでこちらからは問わない、何も言わないでいる方が相手を思いやることになると日頃は思っています。

 ある時、失意の中に居た私に、韓国の友人が電話をくれました。彼女は電話をかけてくるなり「アイゴー!かわいそうに!いっぱい泣いたでしょう?」と感情もあらわに言いました。その言葉に私は面喰らいつつも、自分はこんな言葉を待っていたのかもしれないということに気が付きました。

 それまでも寄り添ってくれる友人はいましたが、こんな言葉を言う人は誰もいません。気を遣ってあえて何も言わずにいてくれているのだなと感じていましたが、どこか寂しくも感じていました。こう言葉を掛けられて初めて「そう!つらかったよ、いっぱい泣いたよ。」と押し殺していた弱音を吐き出すスイッチが押され、心の中の悲しみが少し溶け出ていくようでした。

 「弱音を吐く」ということに、マイナスなイメージを持つことが多いかもしれませんが、心の健康にとっては実はとても大切なことです。特に今はコロナ禍の中、誰しもが不安やストレスを抱えています。そんな中、弱音を吐くと「つらいのはあなただけじゃない」と言われるのではないかと考えて、なかなか声をあげられない人もあるでしょう。

 しかし人には弱音を吐ける場が必要です。家族相手にはかえって難しいかもしれません。話せる友人・知人がいればそれもいいですし、カウンセリングや電話相談、最近では弁護士会やNPO法人などがLINEを利用した相談窓口なども開設しています。

コロナにまつわる相談だけでなく、子ども相談、人権問題、メンタルヘルスなど。自分に合った「弱音を吐ける場」を見つけてみませんか。 誰かに「つらかったですね」と言ってもらえたら「自分はつらいんだ。疲れているんだ。」と自覚でき、心の回復の一歩になります。

(文=杉山 麻理江)

☎04・7146・3501 FAX同7147・1491(NPOゆうび小さな学園