夏が近づき、草木が旺盛に茂る今の季節。散歩道にもたくさんの緑があふれています。
ところで近年、身近な場所に生える野草はかなりグローバル化が進んでおり、いわゆる外来種がその大半を占めています。外来種ばかりの今の状態は、地域の生態系に大きなダメージを与えてしまっているため、解決しなければならない大切な問題ではありますが、それについてはまた別の機会。そういう趣旨の記事を書くときに取り上げますね。
さて、この連載は散歩を楽しむことに重きを置いているので、そういう視点で話を進めます。今回は身近な外来種がどこから来ているのか調べてみると新しい「気づき」が得られるかもという内容です。
原産地として比較的多いのは、ヨーロッパと北アメリカ。草花遊びの定番シロツメクサもヨーロッパ原産です。江戸時代にオランダから届いた荷物(中身はガラス容器)の詰め物として入っていて、それがツメクサ(詰草)の名前の元になっています。
ちょっと季節は外れますが、春の野花の定番オオイヌノフグリも、もとはヨーロッパの野草です。ちなみに街中で急増中のアメリカオニアザミ。実はヨーロッパ原産です。アメリカ経由で入ってきた為、勘違いでアメリカとつけられてしまいました。
ハルジオンやヒメジョオン、アメリカフウロ、コニシキソウなどは北アメリカの原産です。そしてコニシキソウと共に畑でよくはびこっているものに、ゴウシュウアリタソウがあります。名前にゴウシュウ(豪州)とある通りオーストラリア原産です。
ピンクの金平糖のような花を咲かせるヒメツルソバ。もとは園芸植物として導入されたものですが、繁殖力が強く道ばたのいたるところに野生化して広がっています。このヒメツルソバの原産地は何とヒマラヤ!オーストラリアやヒマラヤというと珍しい植物の宝庫で、たびたびテレビで特集されることもあり、個人的にはなぜか「特別感」があります(笑)。
他にも身近な野草の原産地を調べてみると、中国・朝鮮半島、インド、アフリカ、中南米など、さまざまな国からやってきているのが分かります。皆さんの身のまわりに生えている野草についてもぜひ調べてみてはいかがでしょうか。
わぴちゃん(岩槻秀明)プロフィール
気象予報士。自然科学系のライターとして植物や気象など自然にまつわる書籍の制作に携わり、著書は20冊以上におよぶ。千葉県立関宿城博物館調査協力員、野田市史編さん委員会専門委員なども務める。宮城県生まれ野田市育ち。