旅スケッチ

ふれあい毎日連載

五穀豊穣の祭りとの出合い

印西市六軒川、弁天川周辺を巡る

 

印西市木下駅近くで和船に乗る「いんざいぶらり川巡り」への参加と、地場産の野菜やフリーマーケットの出店があると聞き、車で出かけた。

 千葉ニュータウンから木下駅を目指し、大森交差点を左折。弁天大橋、六軒大橋を渡ると西側の広いスペースに軽トラックや自家用車が何台も並んでいるのが目に飛び込んできた。

 車を降りると、六軒川から吹く川風が心地いい。颯爽と川辺の道をジョギングしている人もいる。軽トラの前に陳列してあるメロンやスイカが安いのに驚く。多様な植物の苗も販売している。

フリーマーケットではメダカも売っているではないか。朱赤色で「楊貴妃」などと、立派な名前がついている。メダカは人気で、売れているそうだ。

 マーケットの片隅でギターを手に歌っているのは武藤浩さん。

印西市や近隣地域のお祭り、イベント出演、施設訪問など、演奏活動をしているという。聴衆もリラックスして、武藤さんの声がつくり出す穏やかで安らぎの世界を楽しんでいる。川を眺めながら聴く歌は格別だ。

 その後、印西中央公民館裏の第一発着所から和船で手賀沼周辺の川を巡る「いんざいぶらり川巡り」(4月~11月開催。運行は第1・3土曜とその翌日の日曜。運行時間は10時~15時)に乗船の予定だったが、荒天のため中止との連絡が入った。

風を感じる小舟で六軒川、弁天川、手賀川をめぐる小さな船旅のはずだった。残念だが、主催者も安全第一を考えての結論なのだろう。

先ほどの武藤さんから「今日はお祭りがあるよ」と聞いたので、午後から祭り見物と予定を変更した。祭礼の神輿の出発点は厳島神社。場所の見当はついていたので、弁天川沿いをぶらぶらと散歩していると、笛や太鼓の音が聞こえ、印袢纏を羽織った若者が小走りに私を追い抜いて行った。しばらくして、ひとり、ふたりと神社方面へ向かっている。川の白鳥も私の後をずっとついてくる。祭りの幟が見えてきた。

神社に着くと白い装束を着た氏子なのか、役員の面々が神輿のもとに集まっている。上宿、栄町、仲町の名の入った提灯を立てて祭りの開始を待っている。

最後に出てきた白狐の仮面に私はしばし呆然となり、時空を超え、祭りの世界へと誘われた。三日間に渡って開催される「六軒厳島神社祭礼」の始まりである。

※「六軒厳島神社祭礼」は五穀豊穣を祝う祭りで、厳島神社と水神社が合祀した経緯を持つ。水神様といえば農作物に必要な水 (雨) を供給してくれる神さま。水神社は水田の近く (低地) にあり、農作物が豊作になるようにと建てられる神社。

■今回の散歩Date:川周辺およそ2㌔、約3時間。