機械の設計・製造から自社ブランド品の販売まで スズキ機工株式会社

なにつくってるの?東葛工場拝見

 松戸市にあるスズキ機工株式会社は、食品会社などを顧客にした機械の設計・製造と自社ブランド品の開発・販売の2本立てを主な業務にしている。創業は、1971(昭和46)年、半世紀近く続く企業だ。


 創業当時は、一斗缶を製造する機械のメンテナンスからスタート。高度経済成長の波に乗り躍進し、韓国、マレーシアにも製缶プラントの設計・製造事業を拡大。しかし、バブル崩壊のあおりを受け一時は存続の危機に。その荒波を乗り越えてきたのは、就任して24年目となった鈴木豊社長。 
 「就任当時は、24時間365日仕事メインの生活。猛勉強しました」


 商社時代に繋がっていた食品会社の依頼で、食品を作る機械の設計・製作を始める。これが、大きなターニングポイントとなり、業績は持ち直した。 スズキ機工の特色として、車で一時間以内の企業をクライアントにしている。短い距離のクライアントに何度でも頻繁に足を運ぶ。そして、先方の要望や相談を受け入れ、密なコミュニケーションを取ることにより信頼を得る。それが、数字となって業績に繋がった。


 また、高性能の潤滑剤「LSベルハンマー」の商品開発が、社の売り上げを伸ばすきっかけになった。

奇跡の潤滑油「LSベルハンマー」性能は実証済み

 これは、機械装置の摩擦を防ぐなどのプロ仕様から、家庭用シャッターや車、自転車などの身近なものにも使える優れた商品。何度となくTV番組で紹介され、アメリカまで売り込みに行った。SNSを利用し、楽天で1位を獲得、レビューも2800以上となり、ネット販売での売り上げも飛躍的に伸びた。ロゴづくりにもデザイン性の高さを求め、それを反映したトートバッグなども製作し、より広い層にターゲットを狙っている。今年入社した松浦みなみさん(22)は、「大学でデザインを学びました。SNSのアイコンのデザインをするなど、自分の力が生かせる仕事が形となってうれしいです」と語る。


 現在の工場に移転する前の工場を、障がい者の作業施設「まつど育成会」にして、箱詰め、組み立てなどを行っている。60人ほどの従業員の丁寧で正確な仕事ぶりが企業を助けている。かつては、ひと月3000円だった手当を3~4万円にまで高め、障がい者の経済的自立にも貢献。この取り組みが評判となり、国内外から多く視察に訪れている。


 企業内の事務スペースや工場内の「整理整頓」を徹底し、スパナやハンマーには番号を振って、その番号の箇所にしまうことやネジの一個一個を種類、サイズ別にケースにしまうなど、整然とした作業場が印象的。社員の作業着も汚れたシミが見られず、一人ひとりの気持ちに緊張感が漂っている。


(取材・文=高井さつき/写真=高井信成)



■スズキ機工株式会社
松戸市松飛台316‐3☎04・385・5311