今こそ見直したい -紙のお薬手帳の真価 

東葛まいにち

 お薬手帳が誕生したのは平成5年のこと。実に30年の長きにわたり患者さんと医療従事者をつなぐツールとして活躍してきました。最近では、スマホのアプリとして電子お薬手帳の普及が進んでいます。


また、マイナンバーカードを保険証として利用した場合はお薬手帳自体が不要になるという意見もあります。昨今の流れを見るに、デジタル化に押され「紙のお薬手帳」は儚くも消えてしまう運命にあるような気がします。


 何かと日陰者になりつつある「紙のお薬手帳」ですが、本当になくしてよいものでしょうか。


紙のお薬手帳が真価を発揮する場面として取り上げられるのが、大規模災害等の非常事態時です。普段の薬や副作用歴を記録しておいたことで、救護所等で円滑な医療サービスを受けることができたというのはよく聞く話です。


 もし貴方のスマホが壊れていたり電池切れで開けない状態だったら…マイナンバーカードのシステムにアクセスできない状態だったら…いざという時に一番大事な情報は闇の中です。不慮の事故や病気で救急搬送されるケースも考えてみましょう。

 スマホやマイナンバーカードから情報を引き出すには生体認証や暗証番号が必要で、誰もが簡単に中身を確認できるわけではありません。ロックを解除できるのは貴方だけなのです。でも、どうやって?


 こうしてみると、紙のお薬手帳も捨てたもんじゃないと私は思うのですが、如何でしょう。

※お薬手帳を病院ごと、薬局ごとで複数持っている方、お願いがあります。最大限活用するためにも、ぜひ手帳は一冊におまとめください。


 担当薬剤師 石井雄太
 問☎047・360・3600 一般社団法人松戸市薬剤師会