我孫子駅周辺で芸術の秋を堪能

我孫子

今月の沿線さんぽは、芸術の秋にちなみ、白樺派の拠点として知られる我孫子駅周辺を歩きます。

 白樺派といえば国語の授業、国文学の歴史で学びましたが、文学・芸術の分野では、オピニオンリーダーだったとのこと。

 改札を出て右折するとコンコースに開催中・予定のイベントが掲示されています。「我孫子動物彫刻展 プリニウスの動物たち」が気になりつつ南口へ。駅の階段を降りると今度は我孫子駅周辺の観光スポットを紹介する看板を発見。しかもそこには「物語の生まれるまち、我孫子」の文字が。今回はどんな物語が生まれるのでしょうか?

 要所要所に看板があり、交通量も多くない路地なので安心して歩けます。10分ほどで最初の目的地、杉村楚人冠記念館に到着。手賀沼湖畔近くの傾斜を生かした1500坪もの広大な敷地には大きな木々が茂り、歴史を感じさせます。様々な種類の椿や山茶花が多く、10月末から5月頃まで美しい花が楽しめます。しかも!先ほどの動物彫刻展の動物が!市内のいくつかの場所で展示されているようです。

 杉村楚人冠は、明治末期から昭和前期の東京朝日新聞で活躍したジャーナリスト。国内初の日刊写真誌「アサヒグラフ」の創刊に携わった他、独特の皮肉とユーモアにあふれた随筆は人気を博し、我孫子を全国に知らしめた立役者の一人でもあります。

 楚人冠は当初、この地に別荘を建てたそうですが、内部を見学できる母屋は、関東大震災後に定住した際に建てたものです。当時のまま保存されているサロンを覗くと無垢板の立派な本棚に圧倒されます。柳宗悦やバーナードリーチが贔屓にしていた我孫子の大工、佐藤鷹蔵氏によるもので、昭和初期の手仕事の素晴らしさにも感動します。

書斎など令和の現代に見ても素敵で、楚人冠の仕事について思い巡らすだけでなく、建築や内装を見学する楽しみもありますよ。

 次は我孫子市白樺文学館へ。

企画展「志賀直哉展」が開催されていました(11月8日まで。11月11日からは「我孫子の風景展」)。志賀直哉展は、作家、志賀直哉の子孫である山田家秘蔵の志賀直哉作の油絵など、貴重な資料を展示しています。家族と映る写真などを見ていると、人間・志賀直哉が垣間見れるような気がしてきました。

我孫子市白樺文学館の近くには志賀直哉邸跡もあります。現存しているのは書斎部分です。

 休憩に立ち寄ったのはブックカフェのノースレイク カフェ&ブックス。独自の視点でセレクトされた国内外の「読みもの」が大きな本棚にぎっしりと並んでいます。私がいただいたハウスブレンドコーヒーはとても飲みやすく、リフレッシュに最適!店内に流れる音楽も雰囲気たっぷりで、ゆったりした時間が流れていました。

白樺派の人たちがもし今の時代に生きていたら、こんな素敵なカフェで店主さんセレクトの本を片手にノートパソコンをカチャカチャさせながら過ごしていたかもしれないと妄想が…。

 手賀沼湖畔にあるバーナードリーチ碑に立ち寄った後、天神坂を上がり、柳宗悦居宅跡へ。隣接する柔道の創始者、嘉納治五郎の別荘跡からは当時、手賀沼だけでなく富士山が見えたそうです。白樺派を生んだ我孫子の「土壌」を感じた散歩でした。

(写真・文=土肥佳子)

 

■我孫子動物彫刻展 島田忠幸 プリニウスの動物たち アビシルベ、アビスタ、杉村楚人冠邸園など9カ所11月19日まで開催。

杉村楚人冠記念館

我孫子市緑2‐5‐5☎04・7182・8578開館:9時〜16時半(入館は16時まで) 月休(祝日の場合は直後の平日)入館料:大人300円・高大生200円・小中学生100円

我孫子市白樺文学館

我孫子市緑2‐11‐8☎04・7185・2192開館:9時半〜16時半月休(祝日の場合は直後の平日)入館料:一般300円・高大生200円・小中学生以下無料

ノースレイク カフェ&ブックス

我孫子市緑2‐11‐48☎04・7199・3251営業:11時〜16時 火・金休

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