決意のアップグレード。自信と共に ー 神谷優太

レイソルコラム

「歴史のあるクラブであり、優勝争いをすべきクラブであるレイソルに行きたいと思った。レイソルのエンブレムを付けて、タイトルを獲ることに貢献したい」

新体制発表会を終えた神谷優太は何よりも先にそう話し「自信がなければ、ここにはいません」とも口にした。

東京Vユース出身で、育成年代から個の能力に関して秀でた選手だった。その後、青森山田高校への編入を経て湘南でプロデビューしてからも、年代別日本代表として活躍。昨季はUー22日本代表選手として「第47回トゥーロン国際大会」へ招集され、チームの準優勝に大きく貢献した。高い技術と広い視野を持つ司令塔的な印象が強かった選手だが、2年在籍した愛媛ではより攻撃的な役割を担い、昨夏の三協フロンテア柏スタジアムでのレイソル戦では2つのシュートで中村航輔の守るゴールを脅かし、インパクトを残した。

そして、迎えた2020年。レイソルへ加入した神谷の思いとは。

「愛媛で培った経験と自信がある。今はその自信を結果へ繋ぎたい。昨年レイソルと対戦した時に強く感じたのは攻守に基本を大切にして戦うことで、それをベースに選手個々の高い能力が散りばめられていた。その中に加われる自信はある。今は立ち位置などを含めた守備の基本や細かい部分を追求していきたいと考えています」

千葉(J2)とのちばぎんカップからG大阪とのルヴァンカップ第1節。そして札幌とのJ1リーグ開幕戦。順調にプレータイムを伸ばしてきた。特に札幌戦では負傷交代となった瀬川祐輔に代わって左サイドMFを務め、60分間のプレーの中でクオリティーを示した。

「3点目を狙うことや守備での役割があった中で、技術や攻撃で違いを生むことはできた。決定機もありましたが…あれは神様の悪戯というか、『もっとやれ!』ってことでしょう(笑)。技術や個の能力は自分の特長でもあって自信がありますが、あれだけ走って守備をして、チームの勝利に貢献できたことは自分自身の成長だと感じています」

言葉の通り、神谷はとにかく走った。同サイドのボールホルダーに圧力を掛け続け自由を奪った。足を攣るほどのプレーは、「あの神谷がここまで走るとは…」という新鮮な驚きも残したことだろう。現在のレイソルにある「走る」という掟が神谷の新たな一面を引き出した。神谷には「あるモデル」の存在を引き合いにこちらの驚きを回収した。

「走ることや守備での貢献についてはレベルアップしていく上で最も必要なことで、日々の練習から『瀬川くんの守備』を見習っている。プレッシャーの強度も高く、自分にとってはあの守備は刺激的で、先輩たちのプレーから多くを学んでいるところ。瀬川くんは守備をベースにそれ以上の働きをしている。あの姿を自分のベースにして、攻撃で違いを出していきたい」

ひと度、マイボールになれば、オルンガやクリスティアーノと共にスプリントを繰り返した。足下にボールを置けば、これまでにはなかった軌道のボールがチャンスを生んだ。その緩急自在のドリブルや鋭いターンはスタンドにどよめきを生んだ。神谷は独特な言い回しでこう続けた。

「常に未来なんて予測できないですからね(笑)。ただ、ボールを受けて顔を上げた瞬間のアイデアは持っていますから、早く周りと合わせられたらと思います。前はボランチで試合を作る役割でしたが、今は試合を作るだけでなく、攻撃の起点となりゴールを狙うことを求められています。昔と役割が変わり、また増えている。チームの為に戦っている実感がありますね」

周囲の選手たちの評価も上々だ。

神谷の背後を固めながら攻守に連動したプレーを披露した左SB古賀太陽は神谷とのプレーについてこう話した。

「優太くんには『強い推進力』があるので、背後から優太くんを押し出すことも追い越していくこともできる。素晴らしい右足と高い技術もあるので、優太くんがボールを運ぶ場面で自分が選択肢の1つになれるように心掛けていきたいですね」

神谷が持つクオリティーについて話してくれたのはFW江坂任。

「優太が高いポテンシャルを持っているのは以前から知っていた。一緒にプレーをしてみて、またそれを感じています。優太は自分からしたら『イメージが共有しやすい選手』ですね。パス交換をしてみても楽しいし、パスだけじゃなくてドリブルもフリーランもできるのでプレーしていて楽しいですよ」

競争が激化する左サイド。現在ポールポジションにいる瀬川の後を追うクオリティーを示した神谷に改めて聞いておきたいことがあった。それは「守備に走ること」について。

「うーん…やっぱり、今になって思うと、今までは…足りていなかったかもしれませんね(笑)!だからこそ『神谷はやればできる』って証明になればと思うし、『さらにアップグレードできる』って信じています!」

そう話しながら、破顔一笑する表情にも自信と充実感が漂っていた。神谷優太のアップグレードをお見逃しなく。

(写真・文=神宮克典)