感染拡大が止まらない千葉県
危機的状況の中、今求められていることは
緊急事態宣言が再発令されて2週間が過ぎた。しかし、県内の新規感染者、死亡者は増加、森田知事は1月21日の定例記者会見で「飲食店への時短営業要請など施策を打ったが、効果はいまだ見えておらず危機的な状況」と認識を示した。
〈県内の状況〉
1月24日現在、県内の感染者数は6616人、入院中721人、うち重症者51人、ホテル療養者(県内8カ所)282人、死亡211人となっており、新規感染者は前日よりも328人増加した。入院調整中の人は5416人と前日比215人増加。毎日200人から300人増えている。
新規感染者数は1日400人前後で増加しており、そのスピードに対応が追いついていない。直近1週間の陽性者数は2070人、PCR陽性割合は11.74%。年代別では、20代が22.6%と最も高く、次いで30代15.3%、40代14.9%、50代14.3%と続く。地域別では船橋市、柏市、野田市、市川市、松戸市など東葛地域が60.5%を占め、千葉市だけでは15%と、都市部での感染拡大が顕著だ。
〈増え続ける自宅療養者とその基準〉
県は自宅療養する場合の基準を定めている。無症状または軽症の60歳未満の人で、個室を確保でき、同居者に妊婦、65歳以上の者、医療介護従事者がいない等である。
18日には県内で初めて、感染者が自宅療養中に死亡した。県保健所は、毎日電話による健康観察を行っていたが、容体急変に対応が間に合わなかった。この背景には、県内の病床稼働率が70%、重症用が78%に達しているという医療体制の逼迫が指摘されている。
12月の県医師会の会見では、「患者の伸びが急激で特に高齢者の患者の増え方が多い。病床使用率は、特に感染者の多い東葛北部(柏、野田、松戸、流山、我孫子市)では74%に達している」と危機感を示していた。
入院調整に時間がかかるため、入院が必要な人が直ちに入院できないケースが増加。保健所では、県庁からの応援を得たりしながら、増加する自宅療養者へ電話での健康観察を行っている。医療機関ではない保健所の負担は、かなり増している。また、現在は濃厚接触者の洗いだしまで手が回らないため、濃厚接触者は自らの判断で、受診や2週間の自粛を行わなければならない。
〈市川市65歳以上対象のPCR検査始まる〉
そのような中、市川市では独自に65歳以上の市民10万5千人全員を対象に、PCR検査を無料で実施することを決めた。高齢者は、感染すると重症化するリスクが高くなることから、感染者を早期に発見、早期治療に繋げると共に、感染拡大の防止、感染への不安の解消を目的としている。
唾液によるPCR検査で、一人一回まで1月19日から2月25日まで、住まいの近隣の公民館など指定の場所、期間に検査キットと同意書を受け取り、自宅で唾液を採取、翌日提出。陽性の疑いがある場合、市から電話連絡を行い、医療機関で再度検査を受ける仕組みだ。
〈本当のコロナの怖さとは〉
新型コロナウィルス感染症は、発熱や咳など身体的な諸症状については認知されてきた。2週間という長い間の隔離と社会と切り離された生活に、感染者は不安定な精神状態で鬱になる傾向もある。実際、感染を苦に自殺した事件も起こっている。今後は心のケアに、より注目すべきだろう。
そして誰もがコロナを無闇に恐れるのではなく、正しく心配することが大切だ。そのためには、私たちはもうしばらくの間、『3つの蜜を避け』、『正しい手洗い』『うがい』『マスク』『換気』等の習慣を続け、人と人との心のふれあいを大切にしながら、助け合って生きていくことが求められているのではないでしょうか。(市川市議・石原みさ子)。