今回ご紹介するのは、韓国発のホラー映画です。ホラー映画の中にもさまざまなジャンルがありますが、『破墓/パミョ』はオカルトホラー。風水師、巫堂(祈祷師)、葬儀師が集結し、ある一族に襲いかかる災いを止めるため、「あるもの」と壮絶な戦いを繰り広げます。
巫堂のファリムとその弟子ボンギルは、後継ぎが代々謎の病気にかかるという一族から破格の報酬で厄払いの依頼を受けます。災いの原因が先祖の墓にあると気づいたふたりは、風水師のサンドクと葬儀師のヨングンの手を借り、お祓いと改葬を同時に行うことにします。しかし、墓を掘り返したことで「あるもの」が解き放たれてしまい、さらなる災いがもたらされることに…。
本作最大の魅力は、その奇想天外さ。「あるもの」がはじめて正体を現したときには、思わず目を疑ってしまうほど。しかし、その奇想天外さを荒唐無稽だと感じないのは、たしかな演出力と演技力が物語に説得力を与えているからでしょう。最後に待ち受ける「あるもの」との死闘には、ひたすら圧倒されてしまいます。日本やハリウッドのホラー映画とは一味も二味も違う本作を、ぜひ当館でお楽しみください。
(キネマ旬報シアター 長谷部)