屋内農園型 障がい者雇用支援サービス IBUKI KASHIWA FARM 誕生

地域・自然

 薄いグリーンの外壁にオシャレなロゴが目をひく建物。ここは、1月に開設したばかりの「IBUKI KASHIWA FARM」。屋内農園型の障がい者雇用支援サービスだ。東京、神奈川、埼玉、大阪にあるIBUKIの18拠点目となり、千葉県初の開設地に柏市高田が選ばれた。その理由は、県最大級の乗降客数を誇る柏駅からもアクセスが便利で、子育て世代の多いエリアでありIBUKIの利用者が多くのぞめる地域だからだ。


 IBUKIのシステムがユニークなのは、屋内農園を計25室のブースに分け、その一つひとつを法律事務所や製造会社など一般の企業のサテライトオフィス(農園)にしている点だ。
 そのブースで障がい者がハーブを育てる。障がい者にとっては、そこで作業することが出社となる。週5日、1日6時間の労働、給与は企業から支払われる。

「IBUKI KASHIWA FARM」の屋内農園での栽培作業


 2018年から国の障がい者雇用促進法に精神障がい者が加わった。従来の身体、知的を含む障がい者の全体数は、日本で936万人にも及ぶ。その隠れた潜在能力を雇用していこうという国の方針があり、近年一般企業における雇用率も高まってきている。


 しかし、仕事に馴染めない、朝起きられない、人間関係が上手くいかないなどの理由で定着率は決して高いとは言えない。そこでIBUKIは、この施設にスタートライン社員を常駐させ障がい者に丁寧に仕事のやり方を指導。

 多種の関連事業にも活かされるIBUKIのノウハウは、仕事の教室とも言える。また、働く上で障がい者の不安や悩みを聞き出し、それを企業の人事に伝え改善を図っていく。これらのきめ細やかな支援によって、IBUKIの雇用定着率は80%という高い数字を実現している。


 清潔感のある真っ白な壁に囲まれたブースで育てられたハーブは、スペアミント、レモンバーム、パイナップルミントなどすべて無農薬。乾燥させてハーブティーにしたものが、企業の取引先へのお土産や、社のカフェで使われたりしている。


 これまで福祉作業所で働いていた障がい者にとって、一般企業で働く喜びが味わえ、しかも給与も満足する金額を支払われるシステムは、自立へ向けて大きなステップとなる。また、同じ障がいを持つ仲間との交流により、自らが癒されていく感覚も持つであろう。

(取材・文=高井さつき/写真=高井信成)



IBUKI KASHIWA FARM
柏市高田1339‐1
☎090・9830・9827(株式会社スタートライン/藤野)