「空(くう)「宙(ちゅう)」荒井恵子作
船橋市
船橋市市民ギャラリー主催
船橋市西船橋にある曹洞禅宗の寺、茂春山宝成寺の襖絵鑑賞会が先月4日、開催された。参加者は36人で、主催は船橋市民ギャラリー。
鑑賞の前に、襖絵を描いた船橋市在住、抽象水墨画家の荒井恵子さんと住職の赤星隆誠さんの対談が鏡松の描かれた本堂脇で行われ、その後、「空(くう)」と「宙(ちゅう)」と題した襖絵十二面のある部屋へ移動。
「お寺は仏事だけをする場所ではなく、地域の子どもたちをはじめ多くの人々が集う場所。作品を披露する場所としてちょうどよい。市民ギャラリーの公開時に見た時と今日お寺で見た時は印象が変わるのではないか。それは私たちの今の心の状態そのもの。作品と向き合うと、それが現れてくる。見るたびに違ってくる」と赤星さんは穏やかな口調で話す。
「空(くう)の部屋には時空が現在から未来へ繋がって行く様子を、宙(ちゅう)の部屋では精神世界を描いた。和紙の白も墨の黒も、奥まで手が入っていくような温かい感じがするはず」と荒井さん。
その後、参加者は自由に襖絵を観覧。「空(くう)の作品は抽象的だが、花や根を思う。白い部分が命の根源に繋がっているようだ」と参加者の男性。
この鑑賞会を企画したギャラリーアドバイザーの山本雅美さんは「ずっとあたためていた企画。襖絵は、はじめは市民ギャラリーで見学会を開いたが、次はお寺という空間で鑑賞していただこうと考え、実現した。定員に対してそれを超す多くの方々から参加申し込みがあった」と話す。同寺の襖絵は、特別拝観日以外は非公開。
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「空」の襖絵の部屋で、襖絵を描いた荒恵子さん(左)と住職の赤星隆誠さん