知って得する!MRI検査の基礎知識

ふれあい毎日連載

日本大学松戸歯学部放射線学講座

専任講師 村岡宏隆 先生

 

教授 金田隆 先生

MRI検査とは

MRI(Magnetic resonance imaging, 磁気共鳴画像法)検査は、強力な磁場とラジオ波を利用します。MRI検査ではエックス線を一切使用しないため、歯科用コーンビームCT(Computed tomography, コンピュータ断層撮影)やCT等の検査と比較して放射線被ばくの心配は全くありません。

体の内部構造を縦、横、斜めの様々な断面で画像化できる検査法であり、頭頸部を含めた全身の画像診断に有用とされています。治療前の病変内部の状態、大きさ、広がりや術後再発の確認等を評価することが可能です。また、MRI検査はコントラストを識別する能力が高く、筋肉、靭帯や関節円板等の軟組織の描出に優れています。

顎関節のMRI検査。骨や関節円板等に異常がないか検査可能です。

MRI検査の実際と留意事項

▽MRI検査では事前に十分な確認を行います。事故の原因となるため腕時計、アクセサリー、補聴器などの取り外し可能な金属類は全て取り外します。体内に金属(人工関節やペースメーカー等)がある場合は、事前に必ず申し出てください。

この確認はMRIが一歩間違えると大きな怪我や死亡事故にも繋がる危険な装置であるためです。尚、入れ墨やマスカラのある方は発熱によりやけどの可能性もあります。

急性下顎骨骨髄炎のCT検査とMRI検査の比較。CT検査では異常がわかりづらいですが(矢印)、MRI検査では異常部位が描出されています(矢頭)。

▽MRI検査では強力な磁場が発生しているトンネル状の装置の中にベッドに寝た状態で入っていただきます。また、撮影する部位には受信機の役割をするコイルと呼ばれる器具を装着します。撮影時には装置から非常に大きな音が発生するため、耳栓およびヘッドホンの装着もしていただきます。

▽検査時間は約30分程度ですが、検査範囲によって時間は前後します。検査中に動くと画像がぼやけることがあるため、リラックスしてできるだけ同じ姿勢を保っていただきます。MRI装置の中は狭くなっているため、閉所恐怖症の方は申し出てください。

MRI検査の必要性

歯科では顎骨疾患や顎関節症の精密検査に用いられています。顎関節症は、関節やその周囲の筋肉に異常が生じ、結果として痛みや開口障害を引き起こす病気です。MRI検査によって、関節円板の状態、周囲の筋肉等の詳細な状態が把握可能となります。

拡散強調像による下顎骨骨髄炎の定量的評価

また、比較的早期には検出が難しい顎の骨髄炎も、MRI検査ではCTよりも早期に診断が可能なため、迅速な治療につながります。また、MRI検査には様々な撮影法がありますが、当院で実施している拡散強調像では病変の定量的な評価が可能です。

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