今度こそお酒をやめませんか? NPO法人 千葉県断酒連合会
徒然草には「酒は百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ」という言葉がある。少々のお酒は身体に良いと酒上戸は言うが、最近ではお酒(アルコール)は元来、身体に入れるべきではない「毒」だという報告がされている。
WHOでは、お酒は薬物の一種とされており、酒類の販売が規制されている国も多い。
コロナ禍において、飲食店の営業が規制され「リモート飲み会」と称して家でお酒を飲む機会が増えた。更に、在宅勤務が増え、いつでもお酒を飲める状況になりつつある。大量飲酒による影響は、肝機能障害や糖尿病などの身体疾病のみならず、うつ病などの精神疾患を引き起こすことも多い。
大量飲酒が習慣化していたり、アルコール依存症になってしまった本人が、お酒を止めるための自助グループ「断酒会」の存在をご存知だろうか。
「公益社団法人 全日本断酒連盟(以下、全断連)」という全国の断酒会の多くが加盟する全国組織があり、各都道府県にある断酒会の多くは全断連に加盟している。
千葉県には、アルコール依存症本人とその家族、約250人から構成される「NPO法人 千葉県断酒連合会(以下、県断連)」がある。県断連の常任理事・白井克弘さんは、肝機能障害で5回の入退院を繰り返した。2013年に、県断連の断酒会の1つ、「柏断酒新生会」に入会して8年間、断酒を継続している。「断酒の基本は2つあります。依存症専門病院への通院、そして断酒例会への出席です。断酒会に入って良かったのは、お酒を止められて断酒仲間ができた事と、社会生活を送れている事です。これからも断酒を継続していきます」
千葉県内では、船橋北病院や秋元病院などがアルコール依存症患者を受け入れており、依存症からの回復のための治療が行われている。入院患者やデイケアへ通う通院患者のプログラムの一環として、断酒会に参加するなど、医療との連携もされている。
断酒会では、週一回程度の断酒例会で、各々のお酒にまつわる体験談を発表する。会員とその家族が参加し、問題飲酒を繰り返して周囲にどれほどの迷惑をかけたか、飲酒時代の自分を振り返り、家族や社会に対し反省をする。問題飲酒という悩みを持つ者同士が一体感を感じ、今日1日の断酒に感謝する場でもある。
断酒例会は、常にプライバシー保護を重視し行われるため、参加者は安心して体験談を発表することが出来る。
会員は入会間もない人から40年のベテランまでと幅広い。現在のコロナ禍では、感染拡大防止のためオンライン断酒例会が行われている。
また、通常例会の他、スポーツ大会や酒なし新年会などのイベント、一泊断酒研修会も開催される。 「一泊研修会は、千葉県内のみならず、県外の同じ境遇の仲間との絆を深めることが出来ます。断酒継続へのモチベーションにもなります」と白井さんは語る。
「柏断酒新生会」の会長・中山和男さん(75)は、大量飲酒により救急車で病院へ運ばれ、胃の3分の2を切除した。「お酒を飲んでいた頃は妻にも迷惑をかけました。お酒を止めて、今年の5月11日で満16年。今は、お酒のない人生を楽しんでいます」と語ってくれた。
「柏断酒新生会」の例会は、旭町、藤心、豊四季近隣センターなどで第1水曜日から第3水曜日の夜、に行われている。月会費は、各地域断酒会によるが、1000円程度。柏市以外の方や家族の相談も受け付けている。
(取材・文=高井さつき)