ヨロン島の「サバ」事情

東葛まいにち

サバはヨロン島では欠かせない存在である―。

 紛らわしい言い方をしてしまったが、魚の話ではない。与論ではサンダルのことを「サバ」と呼ぶのだ。ビーチサンダルのような草履型の履物も、鼻緒が無いスリッパタイプの履物も、サバと呼ばれる事が多い。

 与論の夏は暑いのだ。靴なんか履いていられない。砂浜歩きも当然サバがいい。職種によっては一日サバで過ごす島民もいる。旅行者もウォーキングツアー時や真冬のよほど寒い日以外は、島にいる間はサバだけで足りるだろう。

 「ギョサン」と呼ばれる、磯で滑りにくいサバも島民に人気だ。ただゴム草履より若干重たいので、好みが分かれる。私はゴム草履派だ。

 じゃあ魚の「サバ」は何と呼ばれているのか?正解は「サバのイュー」である。「イュー」は方言で「魚」という意味だ。というわけで結局はどちらも「サバ」という事になる。ヨロン島で「サバ」を購入する際は、魚なのか履物なのか、ちょっぴり気をつけた方が良いかもしれない。

(写真・文  一般社団法人 ヨロン島観光協会 小高)