α世代とZ世代が対話する「子どものこころの声を聴くワークショップ」

 生まれたときからスマホやタブレットなどのICT機器に囲まれて育ち、価値観やコミュニケーションスタイルが他の世代と異なる特徴を持っているといわれるα(アルファ)世代。

 そんなα世代の気持ちにZ世代・大学生のピアサポーターが寄り添い、話を聞いて言語化し、大人たちに伝えるワークショップが、クラーク記念国際高等学校柏キャンパスで3月28日に開催された。(主催:こどもみらいLAE 後援:柏市教育委員会、柏市PTA連絡協議会)

 参加したのは柏市内5校(柏2中、柏3中、田中中、西原中、富勢中)の中学1年生29人。

「最近ムカッとしたこと」をテーマに「否定しない・個人名を出さない・内容をSNSに投稿しない」というルールをもうけ、1班に2人の大学生がファシリテーターとして参加し、議論した。

「親がスマホのアプリを入れてくれない」

「コロナになって試験を受けられなかった」

「顧問の先生に暴言を吐かれた」など、中学生たちがざっくばらんに意見を出し、1時間ほど議論が続いた。

 参加していた飯島郁さん(西原中1年)は、「α世代という言葉を知らなったけど、学校の先生に勧められて参加してみた。自分の学校以外の中学一年生の色んな話が聞けて面白かった」と話した。また、「普段関わることがない大学生が、私がムカついたことに共感してくれて、親に話すよりもスッキリした気持ちになりました」と笑顔を見せた。

 出口奏大さん(柏三中1年)は「家ではあまり言えないことが言えて楽しかった。大学生は結構年が近いのもあって親身に話を聞いてくれたと思う。SNSで『こんなことがあった』などと発信するのも良いけど、リアルで会って感情が伝えられるのも良いなと思いました」と話した。

 「中学1年生を”しっかりと意見を持った個人”として接するように意識しました。それは、自分たちが中学1年生だった頃に、大人に思われていたよりもっと意見を持っていたし、考えも沢山あったという記憶があったからです」と話すのは『こどもみらいLAE』の加藤さん(仮名・22歳)。

 今回のワークショップについて、「開催に当たり不安も多くありましたが、結果として中学生、大学生ともに笑顔で楽しく終えることができ、それが何より良かったと思います。また、中学生が大人には言えないようなことも話せたと言ってくれ、今回このワークショップを開催した意義が達成できたと思いました」と話した。

 

 取材してみて、中学生の子どもたちが物おじせず大学生に話をしているのが印象的でした。年が近いせいもあり、緊張感もあまりなく本音を言えるのかもしれないと感じました。

(取材=松原美穂子)