ギネスブックに認定された世界最大の変電所    

なにつくってるの?東葛工場拝見
広大な敷地中に多種多彩な変圧器が設置されている

東京電力パワーグリッド(株)新野田変電所

 国道16号線を柏から車で野田市に入り、数分で右折すると広大な土地が見えてくる。多くの鉄塔や電線が張り巡らされ、その敷地面積は東京ドームおよそ6個分。ここは、東京電力パワーグリッドの新野田変電所だ。

 1999(平成11)年に「世界最大の変電所」としてギネスブックに認定された。東京電力パワーグリッド全体の電力供給量は日本の約3分の1を担うが、この新野田変電所から出力させる厖大な電力で、東京の多くの美しい夜景などが支えられているのだ。その他千葉北西部、茨城県にも送られている。

 新野田変電所の役割は、使用場所にあわせた電気にする工場であり、一言でいうと「電力の宅配便」だ。水力・火力・原子力・太陽光・風力などで作られた電気は超高圧にして送られる。その電気をここに集め、電圧を変え鉄塔の送電線で大工場や鉄道に運ばれ、次に中工場、ビルへ。最後に電柱の配電線を使い各家庭や店舗に送られるという仕組みになっている。電力が流れる速さは、光の速さと同じ。発電してから瞬時に各家庭へ送られていることになる。

 地球温暖化により石油や石炭から作るエネルギーが規制され、時代はカーボンニュートラルへと向かっている。近年、よく見かけるのが再生可能エネルギーの太陽光発電や風力発電だ。夏場は、エアコンの使用などにより電力の需要が多くなり発電量が足りなくなってくると、国から需給ひっ迫警報が発令される。電力は作り置きができないため、夏場は各発電所がフル稼働する。特に太陽光発電の出力が減少し、電力需給が厳しくなる夕方から夜にかけて、節電することが大切となる。

 地震や災害で停電すると、日々あって当たり前だと思っている電力のありがたさを実感するだろう。これから台風の季節。被害にあった鉄塔や電柱の復旧作業を担うのも東京電力パワーグリッドの社員の仕事だ。変電保守グループ課長の三橋博さんは「台風などで切れた電線には近寄らないでください。安全に留意しながら、電力の復旧作業、保守、管理を行い、みなさんのご家庭に電気を送るのが私たちの使命です」と語ってくれた。

(取材・文=高井さつき/写真=高井信成)
■東京電力パワーグリッド(株)新野田変電所
野田市西三ケ尾 
☎0120・995・007

電力を送り続けるため日々の点検に万全の注意が払われる